北九州市役所
カードレス決済で北九州市役所の公共料金支払業務を年間約8,100時間削減
JCBパーチェシングサービスによる自治体のDXを促進
企業概要

企業名:北九州市
業種:地方自治体(政令指定都市)
導入課数:221課
北九州市は2024年に「北九州市DX推進計画」を策定し、デジタル技術を活用した利便性の向上や業務効率化を推進しています。市役所業務の効率化を図り、働き方改革を進め、「デジタルで快適・便利な幸せなまち」を目指すうえでデジタル人材の育成を重視してきました。全庁的な研修や実践を通じてDX人材の育成を進める中、会計事務の効率化・迅速化を実現することで、業務の質の向上やコスト削減に取り組んできた会計室の取り組みについてお聞きしました。
会計室
会計システム担当係長 佐々木 望様(システム担当)
審査指導第一係 森永 裕一様(審査指導担当)
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パーチェシングサービス
各取引業者への支払いをJCBの請求書で一本化。部署ごとの明細書発行が可能で、精算効率化やコスト削減を実現するカードレスタイプの法人向け決済サービスです。
導入した背景
導入前の課題
- 電気・ガス・通信の公共料金に関し、全庁で年間約2万件の支出関連事務が発生しており、支払い業務が非効率
- 庁内の全221課から届く支出命令書の審査・支払い手続きに膨大な時間と労力が発生
- 各課で複数の通信事業者・多数の回線を管理しており、確認業務の負担が多大
- 毎月大量の公共料金納付書を郵送で受領しており、膨大な事務負担が恒常化
導入効果
- JCBブランドのパーチェシングサービス(カードレス)を活用したクレジットカードの支払いで、支出命令関連業務を年間約1万6,200件・約8,100時間削減(見込み)
- 審査・確認・支払い手続きの負担を大幅に軽減し、本来の業務に充てられる時間を創出
- 部署名義での運用により、人事異動時の名義変更が不要となり継続管理が容易に
- 紙納付書の受付・処理・保管が不要となり、金融機関の業務効率化にも寄与
導入の決め手
- 自治体の会計事務に即した公金支払いスキームの具体的な提案
- 公共料金事業者との支払い方法切り替え調整まで含めた、手厚いサポート体制
- カードレス(バーチャルカード)方式による紛失・不正利用リスクの抑制
- 国内外で高い知名度を持つJCBブランドへの安心感
インタビュー内容
電子審査だけでは解消できなかった年間約2万件の支出関連事務

会計システム担当係長 佐々木 望様(システム担当)
——まず会計室の業務概要についてお聞かせください。
佐々木様(以下、敬称略):
会計室は会計管理者のもと、市の公金を適正に管理する出納機関として、市役所全体の会計事務を統括しています。各部署が行う支払いや収納に関する事務を統括し、支出命令の審査や支払い処理、資金管理などを通じて、市の予算が適正かつ確実に執行されるよう管理しています。また、各部署の支出命令書を内容確認し支払い手続きを行うほか、公共料金などの支払い事務、債権者登録の管理、財務会計システムの運用など幅広く担当しています。
私はその中で、会計事務の効率化や業務改善の取り組み、財務会計システムの運用などを担当しています。会計分野は、高度な正確性や法令遵守が求められる一方で、事務処理が膨大に発生する分野でもあります。DXを推進しながら、事務の標準化やデジタル化を進め、業務の迅速化とコスト削減を図っています。

審査指導第一係 森永 裕一様(審査指導担当)
森永様(以下、敬称略):
私は会計室の審査指導を担当しています。電気・ガス料金や物品購入費、電話・インターネットの通信費など、市の支出全般について、金額や支払い先に誤りがないかを審査しています。公金を扱う立場として、法律や規則に照らして手続きに不備がないかも確認し、誤りがあれば是正方法を案内・指導することが主な業務です。財源は市民の皆様からお預かりした税金ですので、とりわけ金額に誤りが生じないよう、強く意識して業務に当たっています。
——従来は、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
森永:
市役所内の支払いに関わる納付書は、すべて会計室に集約して処理していました。電気やガスなど公共料金の支払は時期が集中するため、繁忙期には審査と決裁を繰り返さなければならず、余裕のない状態が続いていました。数百円の小口支払いであっても、数百万円規模の支払いと同様の手順で処理する必要があり、効率的とは言い難い運用でした。
佐々木:
公共料金の処理件数だけでも、年間約2万件にのぼります。北九州市には公共料金の支払い対象となる221の課において、各課から毎月大量の納付書が郵送で届いていました。特に通信料金については複雑で、ひとつの課で複数の通信事業者と契約し、多数の回線を管理しているケースもあります。納付書を確認するだけでも非常に煩雑で、担当者の大きな負担になっていました。
——近年は、自治体も支払処理の電子化が進んでいますが、北九州市はいかがでしたか。
佐々木:
北九州市は、政令指定都市の中では比較的早い段階からデジタル化を推進してきました。令和4年度には電子審査を導入し、システム上で差し戻しや確認ができるようになりました。年間25万件にのぼる支出命令の大半が、紙から電子へ移行したことは、会計事務にとって大きな改革だったと感じています。
一方で、公共料金の納付書は、依然として紙による処理が残っていました。内部文書である支出命令書は、市の努力で電子化を進められますが、納付書は外部事業者が発行するため、市単独では変更できません。さらに、各課が個別に契約していたこともあり、支払い方法を切り替えるには事業者との調整が必要で、なかなか着手できない状況でした。
こうした中で、公共料金の効率化が最大の課題として浮き彫りになりました。会計室でさまざまな手段を検討した結果、利便性と費用の両面から、クレジットカードによる支払いが最も現実的で効果的だと判断しました。
自治体の実務に寄り添う提案と、切り替え支援が選定の決め手に
——比較選定の経緯をお聞かせください。
佐々木:
行政として公平性を確保するため、市の指定金融機関4行を対象に、提案内容を比較して選定するプロポーザル方式で提案を募り、比較検討を行いました。この中でFFGカードから、行政特有の制度である出納整理期間(年度末の支払いを翌年度4・5月に処理できる期間)を踏まえたうえで、FFGカードを用いた締日や請求日の設計に関する具体的な提案をいただきました。公共料金事業者との切り替えに伴う調整についても、手厚い支援が期待できた点が魅力的でした。
ふくおかフィナンシャルグループとして、本市の会計業務を深く理解しているという信頼感も大きかったです。また、FFGカードを通じて国内外で知名度の高いJCBブランドのカードを利用できることにも、安心感がありました。

——組織としてクレジットカードを持つことに、不安や慎重な意見はありませんでしたか。
森永:
内部からは、カードの紛失と不正利用に対する懸念の声はあがりました。その点、今回ご提案いただいたパーチェシングサービスは、物理カードを持たないバーチャルカード方式であるため、紛失のリスクがありません。カード番号とパスワードを適切に管理すれば、安全に運用できると確信できました。
また、他自治体の先行事例についても詳細に共有いただき、導入後のイメージを具体的に持てたことが後押しになりました。全庁規模で公共料金をカード払いへ切り替える事例は多くなく、管理方法の検討には時間を要しましたが、用途を公共料金に限定したことで、想定外の利用や事故の防止にもつながっています。
——実際にどのような手順で導入を進められたのでしょうか。
森永:
まず各課における電気・ガス・通信などの契約状況を把握するところからスタートしました。ローコードツールやAI-OCRも活用して一覧化し、払込書払いからカード払いへの切り替え手続きを進めました。切り替え自体は負荷が大きかったものの、FFGカードとJCBのサポートもあり、滞りなく進めることができました。
佐々木:
年度途中での移行かつ全課一斉の切り替えではなかったため、課ごとの切り替えタイミングを正確に把握する必要がありました。各課で混乱が生じないよう、移行後の請求情報の確認方法や処理フローについては、会計室がルールの整備と周知を進めました。
さらに将来の契約追加も見据え、電気・ガス用と通信料用の2枚をあらかじめ全課に発行する方針とし、221課×2枚の計442枚を発行しました。あわせて、各課が管理番号を確認しやすくするためのアプリケーションや管理環境の整備も進めてきました。
パーチェシングサービスは、ウェブ上でカード番号のみを発番するカードレス決済サービスです。部門や拠点、費目ごとの経費管理に適しています。
券面紛失のリスクがなく、継続的な各取引業者へのお支払いをJCBからの請求書に一本化することで、業務効率化とコスト削減を実現できます。
年間約8,100時間の業務削減で本来の業務に注力できる体制へ
——導入後の効果についてお聞かせください。
佐々木:
最大の成果は、納付書払いを大幅に削減できたことです。試算では、年間約2万件あった支払いのうち1万6,200件の削減が見込まれ、業務時間に換算すると年間約8,100時間の削減効果になります。この効果は市内部だけにとどまらず、金融機関側の受付・保管・運搬などの負担軽減にもつながっています。この削減できた業務時間を支払い事務ではなく、企画や施策検討など本来注力すべき業務に回せる点も非常に大きな成果だと感じています。
森永:
財務会計システムの出力データと、JCBのサイトから取得したCSV明細を照合することで、支払い漏れの確認まで行えるようになりました。以前は作業に追われて心理的な負担も大きかったのですが、そうした状況から解放されています。
さらに、電子化によって請求書の紛失リスクも解消され、未処理案件を発見して各課へ注意喚起することも可能になりました。各課からも、以前は払込書ごとに伝票を作成していたものが、現在はJCBカードによる支払い分として一括処理できるため、実務負担が大きく軽減されたという声が寄せられています。
佐々木:
パーチェシングサービスを部署名義で運用したことで、人事異動のたびにカードの再発行や解約などの手間が生じません。長期的な運用・管理という面でも大きなメリットを感じています。

——JCBのサポート体制について、総合的な評価をお聞かせください。
佐々木:
今回は契約件数もカード枚数も多く、単にカード決済ができればよいという話ではありませんでした。制度設計と運用設計が極めて重要だったため、初期段階から継続的な支援を受けられたことが、導入成功の大きな要因になったと感じています。請求書の記載内容の変更やウェブサイトのアカウント数拡張など、システム面でも本市の運用に合わせた柔軟な対応をいただき非常に助かりました。
森永:
毎週の定例会議を対面で実施し、進捗や課題、役割分担を細かく確認できたことも安心感がありました。会議でJCBの手続きにかかる期間や必要工程を随時共有してもらえたため、こちらもスケジュールを組み立てやすく、全体を円滑に進められました。途中で発行枚数に関する方針転換が生じた際も、快く対応していただき、非常にありがたかったです。
公共料金を起点に、JCBとともに効率化の可能性を広げたい

——今後の展望や、JCBに期待することをお聞かせください。
佐々木:
今回の導入で得た知見を、今後の新たな活用や運用改善に生かしていきたいと考えています。将来的には、JCBが保有する決済データと市の財務会計データを連動できれば、さらなる効率化が期待できます。公共料金から他費目への拡張も含め、今後も連携しながら取り組みを発展させていきたいです。
森永:
法人カードの導入を検討する自治体は、今後さらに増えていくのではないかと感じています。その際、アカウントの一括登録機能のような仕組みがあれば、全庁規模での導入もより円滑に進められると思います。大規模自治体ならではの課題に対応した機能拡充を期待しています。
——導入を検討している自治体や企業に向けて、メッセージをお願いします。
森永:
運用が始まると、現場の負担は目に見えて軽くなりました。導入前の苦労を振り返ると、もっと早い段階で取り組んでいてもよかったと感じています。導入を迷っている方には、運用開始後に実感できる効果の大きさを、ぜひお伝えしたいです。
佐々木:
行政は法令上の制約もあり、新しい仕組みの導入には慎重にならざるを得ない面があります。しかし、JCBのような信頼できるパートナーとともに制度設計の段階から取り組めば、大規模な組織であっても着実に実現できるはずです。まずは用途を限定するなど、スモールステップで始めることで、組織内の理解も得やすくなります。実際に一歩を踏み出すことで、次の改善につながる道が開けると実感しています。
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各取引業者への支払いをJCBの請求書で一本化。部署ごとの明細書発行が可能で、精算効率化やコスト削減を実現するカードレスタイプの法人向け決済サービスです。