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【飲食業界の現状と今後】ビジネスモデルの説明から、近年の動向・今後の見通しまで
公開日:2025年3月28日

コロナ禍を経てからのインバウンド需要の影響など、現在の飲食業界にはどのような変化が生じているのでしょうか。飲食店の開業や経営計画の策定にあたっては、近年の動向や今後の見通しを把握することが大切です。
この記事では、飲食業界の市場規模や代表的なビジネスモデル、注目の業態などについてわかりやすく紹介しています。
この記事でわかること
- 飲食業界の市場規模
- 飲食業界における代表的なビジネスモデル
- 飲食業界の現状と今後の見通し
目次
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1 飲食業界の市場規模

まずは、近年における飲食業界の市場規模について見ていきましょう。
1-1 外食産業は2年連続拡大傾向に
日本フードサービス協会が2024年9月に発表した外食産業市場規模推計によると、2023年度の外食産業市場規模は24兆1,512億円と推計され、前年比では20.2%と、2年連続で前年度を上回ったことがわかっています。
2023年5月にコロナ感染症が5類へ移行したことで、国内の人の流れが復活したことに加え、2023年4月の水際措置としての入国規制変更によるインバウンド需要の復活、価格高騰によるメニュー改定なども、外食産業の市場規模が拡大した要因となったと考えられています。
2024年の外食産業の市場規模の内訳としては「食堂、レストラン」「そば、うどん店」「すし店」「その他飲食店の合計が14兆1,313億円ともっとも多く、次いで「宿泊施設」が2兆7,937億円、「喫茶店、居酒屋」は2兆1,044億円となっていました。
日本政府観光局が2025年1月に発表したデータでは、2024年12月の訪日外客数は約350万人となっており、単月として過去最高を記録していることがわかっています。
インバウンド需要の拡大に加え、価格高騰の影響も続いていることから、2024年から2025年にかけても業界の市場規模は拡大傾向にあると予想されます。
また、2023年にはいわゆる「中食」に該当する「料理品小売業」も7兆6,316億円と、前年比で3.1%増加していることがわかっています。
1-2 「外食」と「中食」の違い
外食とは、文字通り外出先の店舗で飲食を提供する分野のことです。個人経営の小規模な店舗から、チェーン展開する大規模店舗まで幅広く、中華や和食、洋食などジャンルも多岐に渡ります。
中食とは、自宅へ持ち帰って食事することを前提として、調理済みのメニューや食材を提供する分野のことをさします。
テイクアウト専門店やお弁当店などが該当し、中食も外食と同様に多様な規模、ジャンルの店舗があります。
店舗内で外食を提供しつつ、テイクアウトにも対応する店舗があるほか、近年ではテイクアウト専門店内にイートインスペースを設置する店舗や、有機野菜などの自宅で調理して食べる(内食)前提の食材を販売する飲食店やカフェも見かけるようになっています。
2 飲食業界の主なビジネスモデル
飲食業界の主なビジネスモデルについてご紹介します。
2-1 テーブルレストラン
テーブルレストランとは、テーブル席のあるレストランをさします。ファミリーレストランや食堂、外国料理店などジャンルはさまざまですが、食材を仕入れて厨房で調理や加工、盛り付けを行い、テーブル席までメニューを提供するのが一般的な流れとなります。
2-2 ファストフード
英語では“fast food”と表記され、注文からメニュー提供までを短い時間で行う飲食店です。テーブルやカウンター席など店内で飲食が可能なほか、テイクアウトにも対応しているお店が多い点が特徴として挙げられます。
ハンバーガーやサンドイッチ、ドーナツ、うどん・そば、丼料理など、作り置き可能なものや短時間で調理可能な低価格のメニューが中心で、回転数が高い点も特徴のひとつです。
2-3 カフェ・喫茶店
コーヒーやカフェオレ、紅茶などの飲み物をメインに、フードなども提供するスタイルの飲食店です。セルフサービスでリーズナブルかつスピーディーにコーヒーやメニューを提供するスタイルと、テーブル席やカウンターでゆったりとした雰囲気で飲食の提供を行うスタイルとに大きく分けられます。
コーヒーの提供をメインに、レトロな雰囲気でハンドドリップのコーヒーや昔ながらのサンドイッチ、スパゲティなどを提供するスタイルは「喫茶店」と呼ばれるのが一般的ですが、近年では「レトロカフェ」など、カフェと喫茶店を明確に分けないお店も増えてきています。
2-4 居酒屋
ビールやチューハイ、日本酒などのアルコールと、お酒に合うおつまみなどを提供するお店です。夕方から夜間までをメインの営業時間にする店舗が多く、原価率の低いドリンクやアルコールを多く提供するスタイルのため、短時間の営業で高い利益率を得られる点が特徴です。
コロナ禍により休業を余儀なくされた影響などから、近年ではお昼のランチ営業やテイクアウトなど、その他のビジネスモデルに対応する居酒屋なども増えてきています。
2-5 宅配、フードデリバリー
注文に応じて利用者の自宅へメニューを配達するスタイルの店舗です。宅配サービスのみに特化している店舗と、店内での飲食も可能な店舗とに分けられます。
以前はピザやお寿司、中華料理など宅配サービスを行うメニューのジャンルは限定的でしたが、近年では配達代行サービスの普及などにより、外国料理やファーストフード、お弁当やハンバーグなど多様なジャンルの宅配が可能となっています。
ここで挙げたビジネスモデルは代表的なものの抜粋であり、ユニークな形態のお店や複数のビジネスモデルを融合させたお店など、日々新しい飲食店が誕生しています。
3 飲食業界の現状と今後

飲食業界の現状と今後について見ていきましょう。
3-1 飲食業界の現状
飲食業界では「インバウンド需要」と「コロナ禍を経た中食志向の増加」「競合店との差別化」などにフォーカスした店舗が増えてきています。
インバウンド需要として、観光地として人気のエリアでは、ヒレカツと海鮮丼のセットなど日本人向けの和食とは異なる「インバウンド向け和食」の提供や「しゃぶしゃぶ専門店」など、日本食の中でも人気のメニューに特化した専門店などをよく見かけるようになっています。
また、コロナ禍を経て、自宅で食事をする気軽さや自炊の手間を省略できるメリットから中食志向も増加傾向にあり、スパイスカレーやタイ料理など、これまで宅配サービスが少なかったジャンルも、デリバリーやテイクアウトに対応するようになってきています。
近隣に乱立する飲食店や競合店との差別化を図るための施策として、専門店化や宅配に対応するケースもあります。「有機野菜を店頭販売するオーガニックレストラン」「缶詰やインスタントラーメンが食べられるセルフカフェ」など、複数の分野やコンセプトが融合した店舗なども増えてきています。
顧客のSNSへの投稿が増えるような盛り付けやネーミング、パッケージや内装へのこだわりなども、近年の飲食業界では重要となってきているようです。
3-2 飲食業界で今後注目の業態を紹介!
飲食業界のビジネスモデルや現状を踏まえて、今後注目したい業態をいくつかご紹介します。
- 健康志向のお店
2024年に引き続き、健康を意識した食材を取り入れたメニューがコンセプトの飲食店は注目されると予想されます。
ひとくちに健康食といっても、どのような食材を積極的に摂るか、または控えるかの選択肢も多様化してきています。
有機野菜、大豆ミートなどを使用したベジタリアンメニューや、筋トレのサポートを意識した高たんぱく食、ダイエットや体質改善に役立つ低糖質やグルテンフリーメニューなど、さまざまな健康志向の飲食店が今後も注目されることとなるでしょう。
- インバウンド需要
インバウンド需要の高まりは2025年も継続が見込まれるため、飲食業界においてもインバウンド向けのお店は人気となっています。
カレーやとんかつ、ラーメンといった外国人に人気のメニューを提供するお店だけでなく、多言語のメニューや会話集を活用するなど、注文や会計時のストレスが軽減するような対策を施すことで、和食以外のジャンルでも人気店となる可能性があります。
はじめて日本を訪れる海外からの観光客向けメニューだけでなく、ある程度日本旅行に慣れた外国人訪日客をターゲットとしたお店づくりも引き続き重要となります。
- 高級食べ放題
従来まで一般的だった「コストを抑えた食材を使い、低価格でたくさん食べられる」といった食べ放題のコンセプトから、近年では「高級な食材を選んでたくさん食べられる」高級食べ放題に注目が集まっています。
蟹やステーキ、ロブスター料理など、格式の高いお店で1種類ずつしか食べられないようなメニューでも、食べ放題なら気軽に楽しめるメリットがあります。
店舗側でもオーダー制の食べ放題で食品ロスを回避したり、厳選した食材を多くの人へ提供できる宣伝効果などもあり、高級食べ放題も注目の業態のひとつとなっています。
- レトロコンセプト
昭和や平成の雰囲気を感じるレトロコンセプトのカフェや居酒屋なども近年人気となっています。特に2025年は大阪万博の開催に伴い、前回開催の1970年代を回帰するムードが高まるため、引き続き注目度が高くなっています。
いずれの業態を選ぶ場合も、SNSと相性のよい見映えや「おひとり様ニーズ」「インバウンド需要」といった明確なターゲットの打ち出し、ストーリーやエンターテイメント性など、わかりやすいコンセプトづくりが重要となります。
3-3 JCB提供サービスやツールのご案内
JCBでは、業界の消費動向や顧客データが分析できるツールをご用意しています。
このほかにも、多言語指さしボード(飲食店版)やインバウンド向けのルール説明ポスターを提供していますので、ぜひご活用ください。

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4 まとめ
飲食業界は近年市場規模が拡大しており、従来の飲食店はもちろん、インバウンド需要向けの飲食店や、調理したメニューを自宅で食べる中食向けの宅配、フードデリバリーに対応した飲食店などが増えてきています。
2025年も引き続き注目の業態としては、高級食べ放題やレトロコンセプトなどが挙げられますが、最新の消費動向を把握して、インバウンド対策も取りつつ、注目のコンセプトを取り入れていくとよいでしょう。
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