1 飲食店の人手不足の現状

まずは、飲食店の人手不足に関する現状について見ていきましょう。

1-1 非正社員の人手不足割合は業界トップ

2024年に帝国データバンクが発表したデータによると、国内では慢性的な人手不足に悩む業種が多い中でも、非正社員の人手不足の割合は飲食業が64.3％と、業界中トップとなっていることがわかっています。

飲食業における人手不足の割合は、2023年では82％、2022年においては76.3％となっており、前年度、前々年度と比較すると改善されているものの、飲食業界は慢性的な人手不足の課題を抱えているといえるでしょう。

1-2 長引く飲食業界の人手不足

近年の動向に限らず、コロナ前から飲食業界の人手不足は問題視されてきていましたが、コロナ禍には多くの飲食店が休業となっていたこともあり、コロナ禍を経て人の流れやインバウンド需要が復活した現在、再び問題視されるようになっています。
飲食店の人手不足には、少子高齢化や海外からの訪日客増加といった背景もありますが、それ以外にも「従業員が長続きしない」「求人に応募が来ない」といった理由もあるようです。

2 飲食店が人手不足に陥る理由6つ

飲食店が人手不足に陥る理由としては、次に挙げる6つが考えられます。

2-1 賃金が低い

飲食業が人手不足になりやすい理由のひとつとして、賃金の安さが挙げられます。厚生労働省が2023年に発表した賃金構造基本統計調査によると、飲食業の賃金は他業種と比較しても男女共にもっとも低いことがわかっています。
もっとも賃金が高いとされる金融、保険業の男性の賃金497.5万円に対し、飲食、宿泊業は290.1万円となっており、製造業の334.8万円やその他サービス業の307.6万円、運輸・郵便業の303.3万円よりも低い賃金となっているのです。
「飲食店以外の業種で働いた方が賃金が高い」というイメージがあると、求人への応募にも影響が出やすくなってしまうでしょう。

2-2 接客のストレス

接客におけるストレスが高い点も、飲食店の人手不足が解消しづらい理由のひとつです。
飲食店向けに予約／顧客台帳サービスの開発・販売を行う株式会社トレタが行った調査によると、飲食店の仕事で嫌なことの1位は「お客様に嫌な絡まれ方をされた」時となっていました。
また、3位には「お店や自分へのクレームを受けた」時で、5位には「お客様が無理な注文をしてきた」時であることがわかっており、飲食店で嫌だと感じることの多くが接客時のストレスとなっているのです。

2-3 仕事量が多い

飲食店での仕事は、調理や接客のほか、レジ対応や仕込み・電話対応など業務が多岐に渡り、仕事量が多いというイメージから、飲食店で働くことを敬遠される方も一定いるようです。

2-4 研修期間の不足

飲食店では、新しく従業員を採用したとしても、忙しさから十分な研修期間が取れず、知識や技術が伴わない状態で接客や調理を任されるケースも少なくありません。
仕事量が多いにも関わらず研修期間が短く、慣れていない状態で責任が伴う業務を任されることでクレームに繋がるなど、仕事上でのストレスが高くなる悪循環を生んでしまいやすくなるのです。

2-5 シフトが不安定

飲食店は土日祝日が繁忙期となることが多く、休みが取りにくい点も人手不足の理由となりやすいでしょう。店舗によっては終了時間が夜間となるなど、拘束時間が長いケースも少なくありません。
逆に、個人経営の店舗などは店主の都合で長期休業するケースや、チェーン店では他地域の店舗へ出向を依頼されるなど、安定しないシフトで働きづらい職場環境となっている場合もあります。

2-6 長期雇用が期待しづらい

飲食店では繁忙期だけのアルバイトやパートといった非正規の従業員募集が多く、将来性が期待しづらい点もデメリットとなっています。
店舗によっては、正社員になっても労働量や責任に給与が見合わないケースもあり、非正規雇用のまま勤め続けるケースも少なくありません。
正規雇用のメリットが少ない場合、従業員は安定して長く働ける可能性について期待しづらくなってしまうでしょう。

3 【導入しやすい】飲食店の人手不足を解決する方法

飲食店の人手不足を解決へと導くために試したい方法について、導入イメージがしやすい例をいくつかご紹介します。

3-1 DX化を推進する

人手不足の解消には、店舗のDX化が重要なポイントとなります。DX化とは、飲食店での業務においてデジタル技術を導入することをさします。
レジ業務にタッチ決済を導入したり、予約をオンラインで管理できるようにするなど、人の手に頼らず済む業務を増やすことで、少ない人数でも営業できるようにしたり、従業員の仕事量を減らして負担を軽減することができるようになります。
また、DX化を進めることで近年注目されているワークシェアサービスも活用しやすくなります。ワークシェアリングとは、従来1人で行っていた業務を複数で分担して行う取り組みのことです。例えば、オンライン上での予約管理はリモートで行うなど、DX化を推進することで、飲食店でもワークシェアリングを推進しやすくなるでしょう。

3-2 研修や面談の時間を増やす

新しいシステムの導入時や新人研修時にはしっかりとマニュアルを作成し、十分な研修時間をとることも大切です。
定期的に面談を行い、負担に感じている点や問題点をヒアリングすることで、課題の解決や従業員の負担軽減に役立ちます。
人手不足の解消方法であるDX化を推進する際にも、わかりやすいマニュアルの作成や研修時間を設けるようにしましょう。

3-3 こまめに労う

接客業に携わる方は、人の役に立つことや感謝されることに喜びを感じやすい方が多いものです。
「〇〇をしてくれて助かっている」「〇〇の対応が素晴らしい」など、経営者が率先してこまめに労うことが大切です。
頑張りを給与に反映させる、定期的な昇給やボーナスを支給するなども、労う際のひとつの方法となります。採用後の定着率を上げる事が、結果として人手不足の解消に繋がるでしょう。

3-4 店舗運営から関わってもらう

新メニューの開発やSNS更新、イベント企画など、店舗の運営に積極的に関わってもらうことで「お店を一緒に作り上げている」という感覚を持ってもらうのもおすすめです。
経営者や管理者としての視点を学ぶことで、飲食店の仕事にやりがいを感じやすくなるでしょう。

3-5 JCBグループの飲食店応援サービスのご案内

JCBグループでは、加盟店の皆様を応援するさまざまなサービスを提供しています。

• オンライン予約管理が簡単にできる「JCB飲食店集客応援パッケージ」
  Instagramや Google への予約ボタン設置と、シンプルでわかりやすい予約管理が利用できるパッケージです。

• 自分の店舗にあったサービスが見つかるプラットフォーム「tance mall」
  tance mallでは、売上管理やモバイルオーダー、集客や顧客データの分析ができるサービスなど、自身の店舗にあったサービスを簡単に見つけることができます。

• 人手不足に拍車をかけるインバウンド対応には「多言語指さしボード」
  人手不足の中でも、インバウンド需要に対応する機会が増えると、英語による接客や説明などで手間と時間がかかってしまいます。
  JCBでは、加盟店の皆様向けに、ダウンロードするだけでインバウンド対策に活用できる多言語指さしボードの提供も行っています。

※写真はイメージです。

4 まとめ

飲食店の人手不足は慢性的となっており、賃金の低さから求人への応募が少ない店や、接客の負担、研修時間の短さなどから、採用しても定着しないことなども理由として挙げられます。
DX化の推進やこまめな研修、ヒアリング時間を設けて労うといった解決策を行い、活用できるサービスも検討しながら人手不足の課題を解消しましょう。

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