法人カードの基本をおさえる
法人カードの従業員用追加カードとは?メリットや審査の有無、注意点を解説
公開日:2025年9月30日
追加カードとは、メインのクレジットカードに加えて追加で発行できるクレジットカードです。法人カードの場合、従業員向けに追加カードを発行することで、経費の立替にともなう作業が大幅に削減でき、経理業務が効率化できるといったメリットがあります。
ただし、従業員間での使い回しができないため、人事異動や入退社による名義変更の必要があることや、発行枚数に応じて費用がかかることなどの注意点もあります。
上手に活用して業務を円滑に進めるためにも、法人カードの追加カードのメリットや注意点などを押さえておきましょう。
この記事でわかること
- 法人カードの追加カードの概要(使い方・費用・発行枚数)
- 法人カードの追加カードのメリット・注意点
- 法人カードの追加カードの発行方法・審査の有無
目次

法人カードの追加カードとは
「追加カード」とは、メインのクレジットカードに加えて追加で発行できるクレジットカードです。
法人カードの場合、経費支払い用として従業員向けの追加カードを発行します。追加カードで支払った料金は、法人のメインカードに請求が集約されます。
個人カードの「家族カード」とも似ていますが、利用目的が経費の支払いである点や、発行対象者が従業員である点が異なります。
クレジットカード会社によって「使用者カード」「従業員カード」と呼ぶこともあり、追加カードを発行できる枚数も異なります。
法人カードの追加カードの名義はカードを利用する従業員の氏名
法人カードの追加カードの券面には、利用する従業員の氏名が表記されます。たとえば、山田太郎さんが利用する追加カードの券面には「TARO YAMADA」と表記されます。
法人カードに限らず、クレジットカードは名義人以外が使用することはできません。たとえ同じ部署で働く同僚であっても、カードを貸し借りして支払うことはできないため注意が必要です。
発行枚数上限が設けられている追加カードもある
法人カードによっては、追加カードの発行枚数が限られる場合があります。制限がある場合は、仕入担当者や物品購入者、出張の多い従業員などを優先して発行するとよいでしょう。
これから法人カードに申し込む場合は、経費を立て替える可能性のある従業員数にあわせて、充分な枚数を発行できる法人カードを選ぶことがおすすめです。
部署ごとに追加カードを発行できる法人カードもあるため、カードごとの特徴を比較して自社にあった法人カードを選びましょう。
追加カードの利用可能枠(限度額)は本会員と共有
多くの場合、法人カードの利用可能枠(限度額)は、本会員と追加カードで共有する形になるため、会社全体の利用可能枠は、カードごとに定められた利用可能枠のうち最も高い金額となります。
複数枚の追加カードの利用可能枠の合計が、会社全体の利用可能枠になるわけではありません。
そのため、総枠から全員の利用残高を差し引いた金額が、会社全体の利用可能額となります。一部の従業員が利用可能枠の上限近くまで利用してしまうと、他の従業員がカードを利用できなくなるため、注意が必要です。
なお、法人カードのなかには、会社全体の利用可能枠とは別に、追加カードごとに利用可能枠を設定することができる商品もあります。
JCBの法人カードでは、追加カードの発行はご希望に合わせて上限なく可能で、商品によっては追加カードごとに利用可能枠を設定することが可能です。
部署ごとに追加カードを発行できる法人カードもあるため、カードごとの特徴を比較し、自社の利用環境に合ったカードを検討しましょう。
法人カードの追加カードを活用するメリット
法人カードの追加カードを活用すれば、経費処理を効率化できたり、ガバナンスを強化できたりといったメリットがあります。
経費処理を効率化できる
一般的に、従業員が使用する追加カードの利用金額は、本会員が所有するメインのクレジットカードの支払口座から一括で引き落とされます。そのため、社員が経費を立て替えたり、経理担当が立替金精算のために現金を用意したり振り込んだりする必要がなくなります。
従業員に追加カードを付与するだけで、立て替えを行う従業員・経理担当者双方の負担を減らせるでしょう。
さらに、会計ソフトと連携すれば仕訳処理も自動で行われるため、会計処理がスムーズになることもメリットのひとつです。
ガバナンスを強化できる
法人カードでは、追加カードを複数枚発行したとしても、管理者が従業員全員の利用明細を照会できるため、いつ・誰が・なににカードを利用したかがわかるようになっています。そのため、抑止力が働き、従業員による不正利用や不祥事の防止につながるでしょう。
法人カードによっては、追加カードごとに利用可能枠(限度額)を設定できたり、利用先を制限できたりする場合もあります。追加カードの特徴をおさえて上手に活用しましょう。
ポイントがたまりやすくなる
従業員が現金で経費を立て替えた場合は、会社にポイントがたまりません。しかし、追加カードを活用して経費の支払いを一本化することにより、ポイントがたまる仕組みをつくれます。通信費や高速道路の料金、事務用品など、毎月かかる経費を法人カードで支払うだけで、ポイントを集約できる点は、法人カードの魅力のひとつでしょう。
たまったポイントの使い道は、経費の支払いや景品との交換、カード利用金額への充当など、さまざまです。上手に活用することで、経費削減や社員の満足度向上などにつなげられるでしょう。
一方で、大規模企業向けの法人カード(コーポレートカード)では、ポイントシステムよりもソリューション提案やサポート体制の整備など大規模企業向けのサービスが重視されています。また、ポイントの扱いが会計上煩雑になるため、そもそもニーズが少ないという背景もあるため、ポイントシステムが導入されていない場合もあります。
- JCBコーポレートカードではポイントがたまりません。
追加カードを利用する従業員が付帯サービスを利用できる
法人カードは、ビジネス向けの付帯サービスが豊富であり、追加カード会員である従業員がそれらの付帯サービスを利用できることも、メリットのひとつです。
たとえば、JCB法人カードでは、支払いを効率化できるQUICPay(クイックペイ)TMやApple Pay、Google Pay(TM)、出張や宿泊を便利にするANA BizやJCB de JAL ONLINE、JCB de JAL ONLINEなどを利用できます。商談に役立つJCBギフトカードやJCBタクシーチケットなども購入できます。
ゴールドカードには空港ラウンジサービスが付帯されているため、フライトまでの待ち時間を有意義に過ごすことが可能です。

法人カードの追加カードにかかる費用
追加カードの発行には、年会費や発行手数料がかかるのが一般的で、費用は法人カードごとに異なります。
年会費が高くなるほど、特典や付帯サービスが充実する傾向があります。
発行枚数に応じて年会費や発行手数料がかかる
法人カードの追加カードの年会費や発行手数料は、発行枚数に応じてかかることが一般的です。
コストを抑えて追加カードを利用したい場合は、年会費や発行手数料を踏まえて発行枚数を決めましょう。決済権限のない従業員にも追加カードを発行すると、無駄な経費を支払うことになってしまいます。
コストを重視する場合は、追加カードの年会費がかからない法人カードを選ぶのも選択肢のひとつです。
追加カードの発行枚数が限られている法人代表者・個人事業主向けの法人カードでは、追加カードの年会費がかからない場合があります。
JCBの法人カードなら追加カードが無料で複数枚発行できる
JCBの法人カードなら、従業員数にあわせて複数枚の追加カード・ETCカードを発行可能です。
企業規模にあわせて2種類の法人カードから選べます。
カードフェイス カード名 | JCB Biz ONE | JCB Biz ONE | JCB一般 | JCBゴールド |
---|---|---|---|---|
年会費 | 永年無料 | 5,500円(税込) 初年度無料 【年間100万円(税込)以上利用で翌年度も無料】 | 1,375円(税込) 初年度無料 (オンライン入会のみ)(※1) | 11,000円(税込) 初年度無料 (オンライン入会のみ)(※1) |
使用者カードの年会費 | ー | 1,375円(税込) 1枚目のカードの年会費が無料の場合、追加のカードも無料 | 3,300円(税込) 1枚目のカードの年会費が無料の場合、追加のカードも無料 | |
ETCカード | 1枚発行可能 | 複数枚発行可能 | ||
申込対象 | 法人代表者または個人事業主 (フリーランス・副業含む)(※2) カード使用者は18歳以上の方が対象 | 法人代表者または個人事業主 (フリーランス・副業含む)(※2) カード使用者は20歳以上の方が対象 | 法人代表者または個人事業主 カード使用者は18歳以上の方が対象 |
「JCB法人カード」なら経費の支払いでポイントがたまる

「JCB法人カード」は、中小企業や個人事業主の方に向いている法人カードです。従業員数にあわせて、追加カードやETCカードを複数枚発行できるため、経費精算業務を軽減でき、会計ソフトとの連携でさらに会計業務がスムーズになることが期待できます。
1枚目のカードの年会費が無料の場合、追加のカードも無料です。
今なら、使用者追加でJCBギフトカード最大30,000円分プレゼント実施中!
また、毎月の利用合計金額に応じてOki Dokiポイント(※1)がたまることもメリットのひとつです。
たまったOki Dokiポイントは、さまざまな商品や航空会社のマイル、提携先のポイントにも交換できます。
経費の支払いを「JCB法人カード」にまとめるだけで、消耗品や航空チケットの費用に利用したり、社内表彰や社員旅行の景品にしたりと活用の幅が広がるでしょう。
- 1 毎月のご利用合計金額1,000円(税込)ごとにOki Dokiポイントが1ポイントたまります。
- 2 2026年よりOki Dokiポイントは、J-POINTに生まれ変わります。よりたまりやすく、より使いやすいサービスへリニューアル。
「JCBコーポレートカード」なら部署名義の追加カードも発行可能

「JCBコーポレートカード」は、大規模企業向けの法人カードです。
従業員数に応じて費用をかけずに追加カードを発行できます。カードごとに利用可能枠(限度額)を設定できるため、必要以上の経費利用を防止できます。空港ラウンジサービスを付帯しているため、国内の主要空港およびハワイ・ホノルルの国際空港内にあるラウンジを無料で利用できます。
追加カードとETCカードは、管理者向けサイトから発行申し込みが可能です。
「パーチェシングサービス」なら仕入れや広告費用などの費目ごとに追加可能
「パーチェシングサービス」は大規模企業向けのカードレスタイプの法人カードです。
カード番号だけをバーチャルに発行するカードレスタイプであるため、従業員がカードを持ち歩く必要がなく、紛失リスクや第三者による不正利用のリスクを軽減できます。
仕入れや広告費用などの費目ごとにカード番号を発行できるため、人事異動や入退社による追加カードの名義変更をする必要がありません。
追加のカード番号は、管理者向けサイトから発行申し込みが可能です。
なお、パーチェシングサービスは、広告費や光熱費などの非対面や登録型決済のみに利用可能です。店舗での備品購入といったオフラインでの支払いには使えない点に注意が必要です。
また、ポイント付与や付帯サービスなどはありません。業務効率化を第一目的とする場合に向いているカードです。
法人カードの追加カードを社員用に発行する方法
法人カードの追加カードは、専用申込書や会員専用ウェブサイトから申し込むことで発行できます。
追加カードの発行方法は、クレジットカード会社によって異なるため、所有する法人カードのウェブサイトなどで確認しましょう。
法人カードの追加カードの発行は審査不要?
追加カード発行時には審査が行われないことが一般的です。
追加カードは本会員に付随するカードであり、本会員である法人や法人代表者が、法人カードを発行する際に審査が完了しているためです。
ただし、追加カードの利用金額が従業員の個人口座から引き落とされる「個人決済型」の法人カードでは、追加カードの発行を申し込むたびに従業員個人の支払能力や信用情報の審査が行われます。
法人カードの追加カードを発行するときの注意点
法人カードの追加カードは、従業員間での使い回しはできない点に注意しましょう。また、不正利用防止のために社内ルールを決めておくことが大切です。
追加カードの使い回しはできない
法人カードに限らず、クレジットカードの追加カードは名義人以外の人が利用してはいけません。
たとえば、仕入担当が別の従業員へ交代した場合は、新たな担当者用に個別の追加カードを発行する必要があります。
人事異動などでカード利用者が頻繁に変わる場合は、部署ごとや費目ごとに発行できる法人カードを利用するのがおすすめです。
不正利用防止のために社内ルールを決めておく
従業員向けに追加カードを活用する際は、利用上のルールを決めておくことが大切です。
従業員数が多くなるほど追加カードの管理が煩雑になるため、ルールを遵守しなかった場合の対応などを詳細に決め、管理方法や利用条件を就業規則や利用規則に明記し、周知徹底しましょう。
ルールをあらかじめ決めておくことで、従業員の不正利用や私的利用を防ぎやすくなります。
よくある質問
-
法人カードで追加カードを発行するメリットは何ですか?
-
法人カードで追加カードを発行するメリットは、次の通りです。
- 経費処理を効率化できる
- ガバナンスを強化できる
- ポイントがたまりやすくなる
- 追加カードを利用する従業員が付帯サービスを利用できる
-
発行された追加カードは誰でも使用できますか?
-
追加カードは誰でも使用できるわけではなく、名義人のみが使用できます。
名義人が部署名の法人カードであれば、その部署に所属する従業員が利用できます。 -
法人カードの追加カードを発行するときの注意点はありますか?
-
法人カードの追加カードは、従業員間での使い回しができない点に注意しましょう。使い回しや不正利用などを防ぐための社内ルール策定がおすすめです。
追加カードの管理方法や利用用途、支払い後の処理方法などを明確にルール化し、周知徹底を心掛けることが重要です。 -
法人カードの追加カードの発行を申し込む方法は?
-
追加カードの発行方法は、法人カードによって異なりますが、会員専用ウェブサイトや専用申込書の郵送で申し込みが可能です。
所有する法人カードのウェブサイトなどで確認しましょう。
指定の枚数で追加カードの発行が可能!
日々の経費精算をもっと便利に

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法人会員向けサービスをご用意
- 掲載内容は予告なく変更となる場合があります。
- Apple Payを利用するには最新バージョンのiOSまたはiPadOS、watchOS、macOSが必要です。Apple Payに対応しているデバイスについてはhttps://support.apple.com/ja-jp/102896をご覧ください。
- Apple Pay、Appleウォレット、Apple Watch、iPad、Macは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。iPad ProはApple Inc.の商標です。
- Google Pay のご利用には、Google ウォレット(TM) アプリのダウンロードが必要です。
- Google ウォレット に対応する Android OS のバージョンは、Google ウォレット のサポートページでご確認ください。
(https://support.google.com/wallet/answer/13314575)
QUICPayを利用するには、おサイフケータイ(R)対応のデバイスが必要です。 - おサイフケータイは、株式会社NTTドコモの登録商標です。
- Android、Google Pay、Google ウォレット は Google LLC の商標です。

- 【監修者】
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氏名:高柳政道(たかやなぎ まさみち)
資格:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、DCプランナー2級一級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得後、2020年5月に金融コラムニストとして独立。企業に属さないFPとして投資商品の選び方を中心に情報を発信。資産運用・生命保険・相続・ローンなど、多岐に渡るジャンルの執筆及び監修業務を手掛け、関わった記事数は500を超える。
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法人カードの追加カードを従業員が利用できれば、法人名義の口座からまとめて引き落とされることで経費管理を簡略化できます。ポイントもためやすくなり、法人カードならではの特典も利用できるなど追加カードによるメリットは多くあります。法人カードを選ぶときは発行枚数の上限が会社の規模に合っているかを事前に検討しましょう。また追加カード分の年会費負担が必要な点にも注意が必要です。