基礎知識
過払い金とは?仕組みや請求方法・注意点をわかりやすく解説
更新日:2025年6月30日
過払い金とは、貸金業者への返済時に支払いすぎた利息のことです。2010年6月17日以前に貸金業者から借り入れていた場合、返還請求をすることによって、過払い金が戻ってくる可能性があります。
ただし、過払い金が発生しない場合も多く、まずは自分が過払い金を請求できるかを確認することが重要です。
そこで、過払い金の仕組みやメリット・デメリット、対象になるケースとならないケース、請求方法などを解説します。過払い金の請求対象だった場合は、早急に返還請求を行いましょう。
この記事でわかること
- 過払い金の意味と発生する理由、仕組み
- 過払い金返還請求の対象有無
- 過払い金返還請求の方法
目次

過払い金とは:貸金業者への返済時に支払いすぎた利息
過払い金とは、貸金業者への返済時に支払いすぎた利息のことです。
利息とは、お金を借りるときに必要な対価のことで、借りたお金(元金)に対して決められた割合の利息を支払います。その割合を「金利」といい、パーセンテージ(%)で表します。
たとえば、10万円を金利15.00%で借り入れて10ヵ月かけて返済した場合の利息は、約6,700円です(実際の返済額は条件によって異なります)。
クレジットカード会社や信販会社、消費者金融などの貸金業者が提供するカードローンやクレジットカードのキャッシングでは、次の図のように利息の上限が決められています。
そのため、過去に上限を超えて支払った利息がある場合は、請求することで取り戻せる可能性があります。
貸金業者に対して債務者が過払い金の返還を求めることを「過払い金返還請求」といいます。
過払い金が発生する理由と仕組み
過払い金の原因は「グレーゾーン金利」にあります。
貸金業者は「利息制限法」により、上限金利(20%)が定められています。
しかし、利息には「出資法」という別の法律があり、かつては上限金利が29.2%と規定されていたため、利息制限法との間で上限金利に矛盾が生じていました。
本来は違法ですが、一定の要件を満たしていれば有効とされていたため、出資法の上限金利で貸し付けを行っていました。これが「グレーゾーン金利」です。
しかし、2010年の貸金業法改正により、出資法の上限金利が20.00%に引き下げられ、グレーゾーン金利での貸し付けが禁止されました。
2010年6月17日以前に貸金業者から借り入れていた場合は、グレーゾーン金利が適用されており、利息を過剰に支払っていた可能性があります。
一方で、2010年6月18日以降に初めて借り入れた場合の金利は適正であるため、過払い金は発生しません。
過払い金の請求ができる対象者
過払い金返還請求の対象者は、2010年6月17日以前に貸金業者から借り入れをしていた人です。
2010年の貸金業法改正により、グレーゾーン金利が撤廃されたためです。
2010年6月17日以前に、クレジットカード会社や消費者金融が提供するキャッシングサービスを利用して借り入れを行っていた人は、グレーゾーン金利が適用され、利息を過剰に支払っていた可能性があるでしょう。過払い金返還請求をすることによって、支払いすぎた利息が戻ってくる可能性が考えられます。
自分が過払い金返還請求の対象者かどうかを確認するには、貸金業者から取引履歴を取り寄せる必要があります。
過払い金の請求方法は、「過払い金を請求する方法」で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
過払い金の対象にならないケース
次のケースでは、過払い金返還請求の対象にはなりません。
最後に返済した日から10年以上経っている借り入れ
過払い金の請求には「消滅時効」があり、最後の取引である完済から10年が経過すると、請求権が消滅します。
時効により請求権が消滅すると、貸金業者は過払い金の返還を拒否できるため、請求ができなくなります。
ショッピングリボ払いや分割払いの手数料
ショッピングリボ払いや分割払いの手数料は、過払い金の対象にはなりません。
クレジットカードのショッピングリボ払いや分割払いは、カード会社が一時的に加盟店へ代金を支払う「立替払い」の仕組みです。手数料はサービスの対価として発生するものであるため、過払い金の対象にはなりません。
銀行や信用金庫などからの借り入れ
銀行や信用金庫、労働金庫(ろうきん)は、貸金業法の対象である貸金業者ではありません。
過払い金が発生する可能性があるのは、2010年6月17日以前における貸金業者(クレジットカード会社や信販会社、消費者金融)からの借り入れです。
銀行や信用金庫、労働金庫(ろうきん)は銀行法が適用され、グレーゾーン金利での貸し付けを行っていなかったため、過払い金が発生することはありません。
カード会社や貸金業者が倒産している
カード会社や貸金業者が倒産していた場合は、過払い金を請求する業者がすでに消滅していることから、過払い金の請求ができません。
なお、企業が倒産しておらず、合併や統合により社名が変更されている場合は、過払い金請求は可能です。この場合は、請求先が変わるため注意が必要です。
過払い金返還請求のメリット
過払い金の返還請求には、支払いすぎた利息が戻る可能性があることや、完済後なら信用情報に影響しないなどのメリットがあります。
支払いすぎた利息が戻る可能性がある
過払い金請求のメリットは、支払い過ぎた利息が戻ってくる可能性があることです。戻ってきた利息の使い道は自由で、生活費として利用する他、借り入れ中のカードローンの返済にあてることも可能です。
借入金の完済後なら信用情報に影響しない
完済後に過払い金請求を行った場合は、信用情報に影響しません。そのため、住宅ローンやクレジットカードなどの今後の審査に影響を与えることはありません。
過払い金請求は、あくまでも「支払いすぎていたお金を取り戻す手続き」です。
過払い金返還請求のデメリット
支払いすぎた利息が戻る可能性がある過払い金返還請求ですが、満額返還されるとは限らないことや、完済前に請求をすると信用情報に残る可能性があるといったデメリットがあることを留意しておきましょう。
請求しても満額返還されるとは限らない
返還請求を行っても、過払い金の全額が返還される保証はありません。返還額のシミュレーションを行えるWEBサイトもありますが、実際に返還される過払い金は交渉先の経営状態などによって変わります。
借入金の完済前に請求をすると信用情報に残る可能性がある
借入金の完済後であれば、過払い金返還請求を行った事実が信用情報に記録されることはありません
しかし、返済中の借り入れの場合は条件次第で信用情報として残る可能性があります。
貸金業者に対して過払い金返還請求を行い、過払い金額よりも借り入れているお金の額が上回った場合は「債務整理を行った」とみなされ、信用情報に記録されることがあります。
債務整理を行ったことが信用情報に残ると、クレジットカードの新規発行や住宅ローンの契約などが難しくなることがあるので注意しましょう。
過払い金を請求する方法
まずは、自分が過払い金返還請求の対象かどうかを調べる必要があります。
自分が過払い金返還請求の対象者だった場合は、返還請求を行いましょう。
過払い金の調べ方・確認方法
過払い金が発生しているかどうかを確認するためには、取引履歴を取り寄せて、正しい利息を計算する必要があります。
貸金業者に「取引履歴の開示請求」を行うことで、過去の取引内容を確認できます。
取引履歴は、自分で請求することも、専門家に依頼して請求することも、どちらでも可能です。わからない場合は専門家に依頼するとよいでしょう。
過払い金の計算は複雑であるため、WEB上で公開されている無料の過払い金計算ツールを活用すると便利です。
過払い金を請求する方法
過払い金請求の方法には「専門家に依頼する方法」と「自分で請求する方法」の2つがあります。
専門家に依頼する方法
過払い金の請求は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼できます。
お住まいの地域の弁護士事務所などを検索して、過払い金の請求に詳しい専門家を探してみましょう。
専門家に依頼する手順は、次の通りです。
- 過払い金請求を扱っている弁護士・司法書士などに問い合わせる
- 過払い金額を確認し、確定する
- 弁護士・司法書士が貸金業者と和解交渉を行い、過払い金の返還額を決定する
- 貸金業者から過払い金が返ってくる
自分で請求する方法
専門家に依頼せず、債務者自らが貸金業者に対して過払い金を請求することも可能です。
専門家へ依頼する費用を抑えられる点はメリットですが、専門知識が求められます。そのため、過払い金返還請求は専門家に依頼したほうがよいでしょう。専門家のほうが交渉もスムーズに進む可能性もあります。
自分で過払い金の返還を請求する手順は、次の通りです。
- 貸金業者に過払い金返還請求書を送付する
- 貸金業者と話し合いによる交渉をする
- 貸金業者から過払い金が返ってくる
詐欺業者に注意!過払い金請求のトラブル
過払い金の返還請求は、支払いすぎていた利息を取り戻せる正当な手続きですが、「誰でも過払い金が戻る」などの甘い言葉で勧誘し、不正に手数料を請求する詐欺業者もいます。
着実に手続きを進めるためには、正規の弁護士や司法書士に依頼することが重要です。
テレビやWEB広告、SNSなどで「誰でも過払い金が戻る」と強調する業者に注意しましょう。
適正な範囲で借り入れするならカードローンを利用しよう
カードローンとは、クレジットカード会社や信販会社、銀行、消費者金融が提供する個人向け融資サービスです。
カードローンは、貸金業法や銀行法にもとづいて運営されており、法律の範囲内で適正な金利が設定されています。2010年の貸金業法改正によりグレーゾーン金利が撤廃されているため、利息制限法を超える金利が適用されることもありません。
カードローンを提供する金融機関は、違法な高金利で貸し付ける「ヤミ金」などの違法業者と異なり、自社の審査基準に従って適正な審査を実施し、申込者の返済能力を考慮した貸し付けを行っています。
利息を抑えた借り入れはJCBカードローン「FAITH」が便利
JCBのカードローン「FAITH」は年会費が無料で、最短で即日融資も可能です。

「FAITH」の申込対象は20歳以上69歳以下で、ご本人に毎月安定した収入のある方です。
ただし、個人の給与収入、または事業所得を示す書類をお持ちでない方や、学生・パート・アルバイトの方、現在のお借入合計残高(住宅・自動車ローンは除く)が年収の3分の1を超えている方は対象となりません。
金利は年1.30~12.50%でクレジットカードのキャッシング枠より低金利(JCB比)
「FAITH」の融資利率(金利)は、1.30~12.50%の低金利(JCB比)です。
最大でも12.50%であるため、融資利率(金利)が15.00~18.00%のクレジットカードのキャッシングリボ払いで借り入れるよりも、利息負担を軽減できる可能性があります。
さらに、5万円までの借り入れでキャッシング1回払いであれば、融資利率(金利)5.00%で借り入れができます。「少しだけお金が足りない」といったときに便利です。
審査は最短当日で完了
「FAITH」は最短即日に審査の結果がわかり、審査完了後、最短3営業日でカードをお届けします。
契約後は、最短数十秒で登録口座に希望額が振り込まれる「キャッシング振り込みサービス」が利用でき、急ぎの借り入れにも便利です。
JCBのカードローン「FAITH」の簡易審査シミュレーション
「FAITH」で借り入れを検討している方は、まず簡易審査シミュレーションを利用しておきましょう。年収や他社借入金額を入力することで、最大でどれくらい融資されるのかを簡易的に確認できます。
なお、JCBは「返済シミュレーション」も提供しており、借り入れを希望する金額と融資利率(金利)、毎月の返済額を入力することで、利息や支払総額をシミュレーションできます。
よくある質問
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過払い金とは何ですか?
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過払い金とは、利息制限法で定められた上限の金利以上に支払った利息のことです。
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過払い金請求の時効はいつですか?
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完済から10年以上が経過すると、時効となり請求権が消滅します。
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過払い金を請求できる条件はありますか?
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2010年6月17日以前に貸金業者から借り入れをした人は、利息制限法の上限を超えた金利(グレーゾーン金利)が適用され、返還請求によって、支払いすぎた利息が戻ってくる可能性があります。
ただし、最後に取引をした日から10年が経過すると、請求権が消滅してしまうため、注意が必要です。
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過払い金があるかどうか調べる方法はありますか?
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2010年6月17日以前に借り入れを行っており、かつ完済後10年以内の場合は、過払い金が発生している可能性があります。WEB上で「過払い金のシミュレーション」を行う方法もありますが、詳しくは弁護士や司法書士の専門家に相談するとよいでしょう。
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- 【監修者】
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氏名:小宮崇之(こみや たかし)
資格:CFP(R)(公認ファイナンシャルプランナー)、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険プランナー、証券外務員一種、日商簿記検定2級大学卒業後、信用金庫に入社。お客様と接する中で、中立的な立場によるアドバイスの必要性を感じ、保険代理店として独立することを決意。保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店を設立。保険代理店の実務経験を活かした執筆業や講師業にも積極的に取り組んでいる。
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