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資金・お金

【飲食店向け】インボイス制度の概要、必要な対応まとめ

更新日:2024年2月26日

インボイス制度のイメージ

インボイス制度の導入が始まったことによって、飲食店ではどのような対応が必要となるのでしょうか。インボイス制度では売り手としての影響はもちろん、買い手としての影響も受けることとなります。例えば、売り手としては「売上が下がる・お客様が離れる」といったリスク、買い手としては「接待がしづらくなる」が懸念されます。そのため、概要を押さえて店舗経営上の影響度などを把握し、適切に対応していくことが大切となります。

ここでは、飲食店事業者として知っておくべきインボイス制度の概要や、具体的な対応内容などについてわかりやすくまとめています。ケース別のインボイス制度のルールについても紹介していますので、現在の店舗運営内容と照らし合わせて問題がないか、改善の必要があるかをチェックしてみましょう。

この記事でわかること

  • 店舗経営者として知っておくべきインボイス制度の概要
  • 飲食店がインボイス制度へ登録する場合のメリット・デメリット
  • 飲食店がインボイス制度に登録する際の大まかな流れ

目次

  1. 1 インボイス制度とは
  2. 2 飲食店がインボイス制度へ登録する場合のメリット・デメリット
  3. 3 飲食店においてインボイス制度が重要な理由
  4. 4 【課税事業者、非課税事業者別】飲食店のインボイス制度対応の流れ
  5. 5 インボイス制度で活用したい制度やサービス
  6. 6 まとめ

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1 インボイス制度とは

請求書のイメージ

インボイス制度とはどのような制度なのか、改めて概要を解説します。

1-1 仕入税額控除の方式として開始された請求書に関する制度

インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のことで、仕入税額控除を受けるために、適格請求書(インボイス)の交付と保存が必要となる制度をさします。

インボイス制度は2023年10月1日(日)から開始されており、売り手側と買い手側の両方に影響のある制度となっています。

仕入税額控除が受けられるようになると、売上の消費税額から仕入の消費税額を差し引いて計算することができます。仕入税額控除を受けることで、消費税の二重課税を防ぐ目的もあるのです。

1-2 インボイス制度で変わるポイント

インボイス制度では、請求書を発行する売り手側と、請求書を受け取る買い手側の両方ともに影響を受けることとなります。

請求書を受け取る買い手側が消費税の課税事業者である場合、仕入税額控除を受ける際には適格請求書(インボイス)の入手が必要となります。

請求書を発行する売り手側は、買い手の要望に応じて適格請求書(インボイス)の発行が必要となります。インボイスの発行には登録番号が必要となり、登録番号を取得するには消費税の課税事業者になる必要があります。

これまで、消費税の課税事業者(消費税の納税義務者)は、前々年(または前々事業年度)の課税売上額が1,000万円以上であることが要件となっていました。

上に記載の基準期間の売上が1,000万円に満たない場合、免税事業者として消費税の納税が免除されていましたが、免税事業者がインボイスを発行するには、免税事業者としての要件を満たしていても消費税の課税事業者となる必要があるのです。

  • 消費税課税事業者が仕入税額控除を受けるには、インボイスの入手が必要となる
  • インボイスの発行には登録番号が必要となり、登録番号の取得には消費税の課税事業者となる必要がある

この2点は、インボイス制度で変わるポイントとして押さえておきたいところです。

2 飲食店がインボイス制度へ登録する場合のメリット・デメリット

お会計のイメージ

インボイス制度によって影響を受ける業種はさまざまですが、飲食店ではどのような影響があるのでしょうか。飲食店がインボイス制度へ登録する場合のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

2-1 インボイス制度へ登録するメリット

飲食店がインボイス制度を導入した場合のメリットとして、法人や接待としての利用数が維持できる点が挙げられます。

消費税の課税事業者となっている法人の利用客が接待などで仕入税額控除を受けるには、インボイスを発行できる飲食店かどうかが重要となります。インボイス制度へ登録して発行可能となることで、法人の接待利用数を維持することが可能です。

売上への影響を最小限に抑えられる点は、飲食店にとってはインボイス制度へ登録する最大のメリットであるといえるでしょう。

2-2 インボイス制度へ登録するデメリット

インボイス制度へ登録するデメリットには、次のような点が挙げられます。

  • 免税事業者でも消費税課税事業者となる必要がある

    これまで消費税の免税事業者であった飲食店がインボイス制度へ登録する場合、免税事業者の要件を満たしていても消費税の課税事業者となる必要があります。消費税の課税事業者となれば納税義務が生じるだけでなく、記帳などの事務作業も煩雑となってしまいます。
  • 領収書やレシートのフォーム変更、対応システムの導入

    インボイス発行には従来の領収書やレシートに、取得した登録番号の記載が必要です。登録番号記載用にフォームを変更するほか、インボイス制度に対応するレジやシステムの導入も必要となり、そのための手間や費用がかかることとなります。
  • インボイス対応店としての告知費用

    インボイス制度に対応している旨をわかりやすくするために、レジや店頭へポスターやステッカーなどを貼って告知する場合は、印刷費用などもかかるでしょう。
  • 仕入先によっては仕入額控除が受けられない場合がある

    インボイス制度へ登録して消費税の課税事業者となった場合、仕入税額控除を受けるには、インボイスに対応している仕入先から適格請求書を発行してもらう必要があります。従来の仕入先がインボイス制度に対応していない場合、仕入税額控除が受けられないリスクが生じる可能性があるでしょう。

このように、飲食店がインボイス登録に伴い課税事業者となった場合、消費税の納税義務だけでなく、インボイスに対応するための費用に加え、仕入先によっては税額控除が受けられない可能性もあります。

インボイス制度への登録にはデメリットが目立つように見えますが、インボイス制度に登録する重要性はどのような点にあるのでしょうか。

3 飲食店においてインボイス制度が重要な理由

飲食店においてインボイス制度が重要な理由について解説します。

3-1 インボイスが発行できないと利用者が減るリスクがある

インボイス制度では、適格請求書が発行されないと仕入税額控除できない点がポイントとなります。

飲食店において、食事を提供する側は売り手となりますが、利用するお客様は買い手となります。買い手側であるお客様にとって、インボイス制度に登録していない飲食店での接待利用は仕入税額控除の対象とならないため、控除に使えない事業者を利用しなくなる可能性が高く、利用者が減るリスクがあるのです。

インボイス導入前から消費税の課税事業者であった事業者はもちろん、インボイス導入に伴って課税事業者となったところも多いため、インボイスが発行できないことへの影響は導入前よりも大きくなると予想されます。

3-2 インボイス制度への対応はユーザーが飲食店を選ぶ際の基準になってきている

上のとおり、消費税の課税事業者自体が増えたことにより、インボイス制度にきちんと対応しているかどうかは、ユーザーが飲食店を選ぶときの基準になってきています。

実際に、予約の際に「インボイス対応しているか」と聞かれたり、問い合わせが入っている店舗も少なくないのではないでしょうか。飲食店はBtoBなど特定の事業者を対象としている業種とは異なり、不特定多数の顧客を対象とする業種です。インボイス制度へ対応しているかどうかは、不特定多数のユーザーの需要に応えるために重要となるでしょう。

インボイス制度へ対応しているかどうかを事前にお客様に知ってもらって利用に繋げるための対策としては

  • 店頭やレジ前などに「インボイス対応しています」などの告知を掲示する
  • 自店舗のウェブページやSNS、地図サービス、登録しているグルメサイトなどに「インボイス対応」などの記載をする

なども行うとよいでしょう。

4 【課税事業者、非課税事業者別】飲食店のインボイス制度対応の流れ

インボイス制度へ登録する際の流れを課税事業者のケースと非課税事業者のケースに分けてそれぞれ解説します。

4-1 課税事業者の場合

インボイス制度登録前から既に消費税の課税事業者である場合は、適格請求書発行事業者の申請を行い、登録番号を取得します。

適格請求書発行事業者の申請は国税庁のサイトから書式をダウンロードして記入し、インボイス登録センターへ郵送する方法のほか、e-taxから申請する方法もあります。個人事業者の場合は、スマートフォンでの申請も可能です。

申請方法によっても異なりますが、登録番号の取得までには約1~1.5ヵ月の期間を要します。請求書のフォーム変更やレジ、システム変更なども必要となるため、登録申請は早めに行うようにしましょう。

4-2 非課税事業者の場合

非課税事業者がインボイス制度へ登録する場合、消費税の課税事業者にならないと登録番号が取得できません。そのため税務署へ課税事業者として届出した後に、適格請求書発行事業者登録を行う必要があります。

登録番号取得後の流れは課税事業者とほぼ同様となりますが、軽減税率に対応するレジやシステムの導入に加え、消費税を納めるために必要な仕訳への対応なども必要となります。

5 インボイス制度で活用したい制度やサービス

インボイス制度へ登録する際に活用できる制度やサービスについて解説します。

5-1 負担軽減措置(2割特例)

インボイス制度の登録に伴い、消費税の免税事業者から課税事業者となる小規模事業者を対象に、2023年10月1日(日)から2026年9月30日(水)までの間、登録後2年間は売上の8割を差し引いて税額を計算できる制度です。

5-2 簡易課税制度

消費税の課税事業者とみなされる基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者を対象に、一定の利率を使用して消費税額を計算できる制度です。

簡易課税制度の利用には事前の届出が必要となるほか、利用できるみなし仕入利率は事業区分によって異なります。簡易課税制度の届出はe-taxから行う方法と、国税庁のサイトから書式をダウンロードし、所轄の税務署へ提出方法があります。適用を希望する課税期間初日の前日までの申請が必要となるため注意しましょう。

5-3 1万円未満の少額取引に関する措置

2023年10月1日(日)から2029年9月30日(日)までの間に国内で行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、インボイスの保存がなくても帳簿保存で仕入税額控除に対応できる少額特例措置が適用されます。

対象となるのは、消費税の課税事業者とみなされる基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間(※)における課税売上高が5,000万円以下である事業者です。
※「特定期間」とは、個人事業者については前年1月から6月までの期間をいい、法人については前事業年度の開始の日以後6月の期間を指します。

また、上に記載の場合とは別に、すべての課税事業者に対して、1万円未満の値引きや割引については返還インボイス発行は無期限で不要となっています。

5-4 インボイス登録制度の見直し

2023年10月2日(月)以降にインボイス制度へ登録する場合、申請書に登録希望日(提出から15日以降の希望日)を記載すれば、その日から登録できます。インボイス登録にはフォーム変更やレジ、システムの対応などの事前準備も必要となるため、登録制度の見直しも含めて申請は早めにするようにしましょう。

5-5 増える事務コストを減らすための対策は?

インボイス制度への対応には、事務作業やシステム変更への対応など、さまざまなオペレーションコストの増大が予想されます。飲食店においても、これまでアナログで行っていた業務については適宜IT化/DX化を進めることで手間とコストを抑え、インボイス制度登録のメリットをより大きくすることができるでしょう。

売上の維持や顧客体験の向上についても、これを機会に一度見直してみることをおすすめします。

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6 まとめ

インボイス制度は、消費税課税事業者が仕入税額控除を受けるためにインボイスの発行が必要となる制度です。飲食店においては、インボイス対応店となることで接待利用が可能となり、売上を維持できるメリットがあります。

インボイス制度に対応するには、登録申請のほかレジやシステムへの対応などの事前準備も必要です。非課税事業者の場合は登録自体の検討も含めて早めに対応するようにしましょう。

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