法人カードの基本をおさえる
年会費無料の法人カードの選び方とデメリット。JCBのおすすめカードも紹介
公開日:2025年9月30日
法人カードのなかには、年会費無料で利用できるカードがあります。コストを抑えて法人カードを導入したい企業や個人事業主にとって、年会費無料は大きなメリットになるでしょう。
ただし、年会費無料の法人カードは、年会費が有料のカードと比べて、特典やサービスの内容が控えめな傾向があります。そのため、年会費の有無だけで判断せず、付帯サービスやポイント還元率なども含めて比較検討することが大切です。
自社の用途や重視するポイントに応じて、使いやすい法人カードを選びましょう。
この記事でわかること
- 年会費無料・有料の法人カードの違い
- 年会費無料の法人カードのメリット・デメリット
- JCBの法人カードの年会費一覧
目次

法人カードにおける「年会費無料」の種類
法人カードにおける「年会費無料」は、主に「永年無料」「条件付き無料」「初年度のみ無料」の3種類があります。「年会費無料だと思っていたのに、翌年から費用が発生した」といったことがないよう、それぞれの「無料」の意味を確認しておきましょう。
永年無料
「永年無料」とは、条件や期間の制限がなく、年会費が無料で使い続けられる法人カードです。発行した初年度はもちろん、翌年度以降も年会費は無料です。
カードの所有に対する費用が発生しないため、コストを抑えたい方に向いています。
初年度のみ無料
「初年度のみ無料」とは、発行から1年間は年会費が無料になり、2年目から年会費がかかる法人カードのことです。
ゴールドカードの一部にも、初年度無料で申し込めるカードがあります。
条件付き無料
「条件付き無料」とは、一定の条件を満たすことで年会費が無料になる法人カードを指します。
条件は「年間◯万円以上利用」「年間◯回以上利用」など、法人カードの種類によってさまざまです。なかには、「初年度の年会費無料+条件を満たせば翌年度も無料」といったタイプもあります。
年会費無料・有料の法人カードの違い
年会費無料と有料の法人カードの主な違いは、付帯する特典やサービスの内容です。法人カードは、年会費が高くなるほど、付帯する特典やサービスが充実する傾向があります。
たとえば、年会費が有料の法人カードでは、旅行傷害保険の補償額が高額であったり、空港ラウンジサービスを利用できたりすることが多いです。プラチナカードなど、年会費の高額な法人カードの場合は、ゴルフやビジネス関連のサービス、コンシェルジュサービスなどが付帯されていることもあります。
とはいえ、クレジットカードとしての支払い機能やポイントシステム、ETCカードの発行など、基本的な機能については、年会費の有無による大きな違いはありません。
年会費無料の法人カードのメリット
ここでは、年会費無料の法人カードを利用するメリットを紹介します。
経費削減につながる
年会費無料の法人カードは、年会費分のコストが発生しないため、経費削減につながる点が大きなメリットです。
法人カードを1枚のみ発行する場合は、年会費の負担は少ないかもしれません。しかし、従業員向けのカードを含め複数枚を利用していれば、1年間で大きな出費になります。
少しでも経費を抑えたい企業は、年会費が永年無料の法人カードがおすすめです。
年会費の会計処理をしなくてもいい
法人カードの年会費は「支払手数料」や「諸会費」として経費計上が必要ですが、年会費無料であれば、こうした作業は発生しません。
法人カード1枚であれば会計処理の負担は小さいものの、複数の法人カードを発行していたり、従業員カードの発行手数料が発生していたりする場合は、仕訳の数が増えてしまいます。年会費無料の法人カードであれば、会計処理の負担を減らせます。
ETCカードの発行が無料の法人カードもある
年会費無料の法人カードのなかには、ETCカードを無料で発行できるものもあります。業務でETCカードを使う予定がある場合、法人カードとETCカードの両方を年会費無料で利用できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
ただし、年会費無料の法人カードは、ETCカードの複数枚発行には対応していない場合があるため、その点は確認が必要です。
ポイントがためられてコストパフォーマンスが高い
年会費が無料でも、ポイントシステムを備えた法人カードは多くあります。利用合計金額に応じてポイントがたまるため、年会費無料でも、おトクさやコストパフォーマンスの高さを感じやすい点が魅力です。
ためたポイントで業務に必要な物品を購入すれば、さらなる経費削減にもつながります。

年会費無料の法人カードのデメリット
年会費無料の法人カードには多くのメリットがありますが、人によっては、次のような点をデメリットと感じる場合があります。
年会費無料の法人カードのデメリット
- 特典の内容は控えめ
- 従業員向けの追加カードが発行できないものもある
特典の内容は控えめ
年会費が有料の法人カードと比べると、年会費無料の法人カードは、特典やサービスの内容は控えめな傾向があります。たとえば、年会費無料の法人カードの場合、旅行傷害保険が「付帯なし」「国内のみ」など限定されていたり、空港ラウンジサービスが付帯されていなかったりすることが多いです。
とはいえ、こうした特典やサービスを利用する機会がない方にとっては、それほど気にならないデメリットかもしれません。
従業員向けの追加カードが発行できないものもある
年会費無料の法人カードのなかには、従業員向けの追加カードを発行できないものもあります。必要な場合は申し込み前に従業員向けの追加カードの発行可否や発行可能枚数などを確認することが重要です。一方で、法人カードを利用するのが法人代表者や個人事業主など、1名のみの場合は、大きなデメリットにならないでしょう。
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年会費無料の法人カードがおすすめの企業(個人事業主)
次の特徴に当てはまる企業や個人事業主の方には、年会費無料の法人カードがおすすめです。
- 経費を法人カードで支払いたいが、コストは抑えたい
- 旅行傷害保険や空港ラウンジを使う機会が少ない
- 従業員向けカードを発行する必要がない
年会費無料でも、支払機能やポイントシステム、ETCカードの発行など、基本的な機能は利用できます。付帯サービスや特典を重視せず、従業員向けカードの発行が不要であれば、コストを抑えられる年会費無料の法人カードは実用的な選択肢といえるでしょう。
年会費無料の法人カードを選ぶポイント
自社に必要なサービスがあるか
法人カードの種類によって、利用できる特典やサービスは大きく異なります。特に、従業員向けカードの発行可否や発行可能枚数、ETCカードの条件、経費精算システムとの連携可否などは、事前に確認しておきたい項目です。出張が多い場合は、旅行傷害保険や空港ラウンジサービスの有無もチェックしておくとよいでしょう。
年会費無料の法人カードは、特典がシンプルな傾向にあるため、「必要なサービス」と「あると便利なサービス」を整理し、複数のカードを比較しながら選ぶことが大切です。
利用可能枠(限度額)は十分か
利用可能枠(限度額)とは、その法人カードで利用できる上限額のことです。法人カードで経費の支払いをする場合、1ヵ月で支払う予定の金額をカバーできる利用可能枠があるかどうかを確認しておきましょう。
法人カードの利用可能枠は、発行後の利用実績や審査によって増額できることもありますが、申し込みの直後は増額できない可能性もあるため、発行前に確認しておくことが賢明です。
法人カードの利用可能枠(限度額)が決まる3つの要素。引き上げる方法も紹介
ポイント還元率は高いか
ポイント還元率とは、利用金額に対して付与されるポイントの割合を示すものです。「何円の利用で1ポイントが付くのか」「1ポイントが何円分相当か」は法人カードによって異なりますが、還元率が高いほど効率よくポイントをためられます。
たまったポイントを商品や提携ポイントと交換できるかどうかも確認しておくとよいでしょう。ポイントを上手に活用すれば、経費の削減や業務効率化にもつながります。
年会費有料でも特典・サービスによってはおトクな場合もある
法人カードの年会費は、1,000円台のものから数万円台のものまで、幅広く設定されています。「年会費のコストはできるだけ抑えたい」という方は、年会費無料の法人カードがおすすめですが、年会費が1,000円台や、条件付きで年会費が無料になるタイプも有効な選択肢といえるでしょう。
年会費が1,000円台の法人カードは、コストを抑えながらも年会費無料の法人カードにはない特典が付帯されているため、結果としておトクに利用できる場合があります。
JCBの法人カードの年会費一覧
JCBの法人カードには、年会費が永年無料のものと、初年度無料のものがあります。それぞれの年会費を一覧で見てみましょう。
なお、JCBの法人カードは、弥生・freeeなどの会計ソフトと連携可能な「MyJCB外部接続サービス」に対応しており、カードの利用明細データを自動で取り込むことができます。これにより経費処理の手間を軽減し、業務の効率化にもつながります。
カードフェイス カード名 | JCB Biz ONE | JCB Biz ONE | JCB一般 | JCBゴールド |
---|---|---|---|---|
年会費 | 永年無料 | 5,500円(税込) 初年度無料 【年間100万円(税込)以上利用で翌年度も無料】 | 1,375円(税込) 初年度無料 (オンライン入会のみ)(※1) | 11,000円(税込) 初年度無料 (オンライン入会のみ)(※1) |
使用者カードの年会費 | ー | 1,375円(税込) 1枚目のカードの年会費が無料の場合、追加のカードも無料 | 3,300円(税込) 1枚目のカードの年会費が無料の場合、追加のカードも無料 | |
ETCカード | 1枚発行可能 | 複数枚発行可能 | ||
申込対象 | 法人代表者または個人事業主 (フリーランス・副業含む)(※2) カード使用者は18歳以上の方が対象 | 法人代表者または個人事業主 (フリーランス・副業含む)(※2) カード使用者は20歳以上の方が対象 | 法人代表者または個人事業主 カード使用者は18歳以上の方が対象 |
- 1 お切り替えの方は初年度年会費無料の対象となりません。
- 2 フリーランスとは、企業と雇用関係を結ばずに案件単位で業務を請け負う方を指します。
年会費永年無料の「JCB Biz ONE 一般」

「JCB Biz ONE 一般」は、条件なしで年会費が永年無料になる法人カードです。法人代表者に限らず、個人事業主やフリーランス、副業をしている方も申し込むことができます。
JCBのOki Dokiポイントは、ご利用合計金額1,000円(税込)につき1ポイント付与されますが、「JCB Biz ONE 一般」では、いつでもどこでもポイントが2倍たまります。年会費が永年無料でありながら、ポイント還元率が高いため、おトクさを重視する方におすすめです。
また、「JCB Biz ONE 一般」はETCスルーカードを1枚のみ無料で発行可能です。従業員向けの使用者カードやETCカードの複数枚発行には対応していません。
- 2026年よりOki Dokiポイントは、J-POINTに生まれ変わります。よりたまりやすく、より使いやすいサービスへリニューアル。
初年度年会費無料のJCBの法人カード
ここでは、初年度の年会費が無料のJCB法人カードを紹介します。翌年度以降は年会費が有料になりますが、年会費無料の法人カードと比べて、特典やサービスがより充実していることが魅力です。
条件を満たせば翌年度も無料になる「JCB Biz ONE ゴールド」

「JCB Biz ONE ゴールド」は、年会費が5,500円(税込)ですが、初年度無料で利用できます。さらに、年間100万円(税込)以上の利用で翌年度も年会費無料です。月8万~9万円以上カードで支払いをする方であれば、年間100万円以上利用することになるため、年会費無料で利用し続けられる可能性があります。
ただし、従業員向けの使用者カードは発行できません。
「JCB Biz ONE ゴールド」は、「JCB Biz ONE 一般」と同様に、いつでもどこでもポイント2倍になり、ETCスルーカードは1枚のみ無料で発行可能です。
利用可能枠(限度額)は50万~500万円で、一般カードよりもやや高めに設定されています。さらに、空港ラウンジサービスを無料で利用できるなど、ゴールドカードならではの特典やサービスも魅力です。
年会費を抑えるなら「JCB一般法人カード」

「JCB一般法人カード」は、年会費が1,375円(税込)の法人カードです。オンライン入会の場合のみ、初年度の年会費が無料となります。使用者カードの年会費は1名様ごとに1,375円(税込)ですが、本カードが年会費無料の条件を満たしていれば、使用者カードの年会費も無料です。
「JCB一般法人カード」は、年会費が1,000円台でゴールドカードと比較してリーズナブルな点が魅力です。コストを抑えながらも、国内外の旅行傷害保険が付帯されているほか、発行手数料・年会費が無料の「ETCスルーカードN」は複数枚発行可能です。
特典重視で従業員カードも発行できる「JCBゴールド法人カード」

「JCBゴールド法人カード」は、年会費11,000円(税込)ですが、オンライン入会の場合のみ初年度年会費が無料となります。使用者カードの年会費は1名様ごとに3,300円(税込)ですが、本カードが年会費無料の条件を満たしていれば、使用者カードの年会費も無料です。
「ETCスルーカードN」は年会費無料で複数枚発行できます。さらに、海外・国内の旅行傷害保険が付帯されているほか、空港ラウンジサービスも利用できるため、特典やサービスを重視する方におすすめです。
よくある質問
-
年会費が無料の法人カードはありますか?
-
年会費が無料の法人カードはあります。JCBの場合、年会費が永年無料の法人カードとしては「JCB Biz ONE 一般」が該当します。「JCB Biz ONE ゴールド」は、初年度の年会費無料+条件を満たせば翌年度も無料で、「JCB一般法人カード」「JCBゴールド法人カード」は、初年度の年会費が無料です。
-
法人カードの年会費が無料になる条件はありますか?
-
クレジットカードにおける「年会費無料」には、大きく分けて次の3つがあります。
- 永年無料(条件なしでずっと無料)
- 初年度無料(初年度のみ無料、2年目以降は有料)
- 条件付き無料(一定の条件を満たすと翌年度以降も無料)
「条件付き無料」の場合は、一定の条件を満たすことで、年会費が無料になるものです。条件はカードによって異なりますが、たとえば「年間◯万円以上の利用」「年間◯回以上の利用」といったものがあります。
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個人事業主が利用できる法人カードはありますか?
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個人事業主が利用できる法人カードは多数あります。法人カードのウェブサイトにある申込条件に「個人事業主」の記載があるか確認してみましょう。
JCBの法人カードの場合、「JCB Biz ONE」や「JCB法人カード」は、個人事業主の方も申し込みが可能です。
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- 【監修者】
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氏名:飯田 道子(いいだ みちこ)
資格:ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、他金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。どの金融機関にも属さない独立系FPです。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住や金融・保険情報を得意としています。
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法人としてクレジットカードを持つなら、できるだけコストがかからない1枚を選ぶとよいでしょう。ただし、年会費無料のカードのなかには特典が少ないものもあります。どのような特典があるのか、どのようなサービスと連携できるのか、発行枚数は必要な枚数が確保できるかなど、自分の会社に必要な機能を満たしているかを確認して、選ぶようにしてください。