法人カードの基本をおさえる
法人カードの利用可能枠(限度額)が決まる3つの要素。引き上げる方法も紹介
公開日:2025年6月26日
法人カードにも、個人向けのクレジットカードと同様に利用可能枠(限度額)が設定されています。十分な利用可能枠がある法人カードを選べば、事業用のさまざまな支払いに対応しやすくなるでしょう。
利用可能枠は発行されるカードごとに個別設定されますが、各カードに定められた金額の範囲内で決まります。そのため、申し込みの前は利用可能枠の範囲を確認しておくことが大切です。
すでに法人カードを利用していて、利用可能枠が不足している、または今後不足する可能性がある場合は、利用可能枠の増額を申し込むことも検討してみましょう。
この記事でわかること
- 法人カードの利用可能枠(限度額)が決まる要素
- 法人カードの利用可能枠(限度額)が低い理由
- 法人カードの利用可能枠(限度額)を引き上げる方法
目次
法人カードの利用可能枠(限度額)とは
法人カードの利用可能枠(限度額)とは、そのカードで支払いに使える金額の上限を指します。たとえば、利用可能枠が100万円の法人カードであれば、100万円までの支払いが可能です。
上限に達した場合でも、利用金額の引き落としが行われると、その分の利用可能枠が回復し、再度支払いに利用できるようになります。
利用可能枠は、申し込み後、審査を経て個別に設定されますが、その金額はカードごとにあらかじめ決められた上限の範囲内で設定されます。なお、JCBの法人カードでは、このようなカードごとの利用可能枠を「総枠」と呼ぶことがあります。
カード名称 | 利用可能枠 |
---|---|
JCB一般法人カード | 10万~500万円 (※1) |
JCBゴールド法人カード | 50万~500万円 (※1) |
JCBプラチナ法人カード | 150万円~ (※1) |
- 1 JCB法人カードを複数枚お持ちの場合、各カードにはそれぞれご利用可能枠の設定がありますが、同一発行会社のカードにおいて利用できる金額の合計は、カードの設定額のうちで最も高い金額の範囲内となります。一部対象とならないカードがあります。
「JCB一般法人カード」の利用可能枠は10万~500万円、「JCBゴールド法人カード」の利用可能枠は50万~500万円の範囲で個別に設定されます。「JCBプラチナ法人カード」の場合は、最低150万円以上の利用可能枠を設定できます。
法人カードの利用可能枠(限度額)が決まる要素
法人カードの利用可能枠(限度額)は、主に3つの要素によって決まります。
- 法人カードのグレード
- 法人カードに設定されている利用可能枠(限度額)
- 申込者・企業の情報を踏まえた審査結果
法人カードのグレード
法人カードには、一般・ゴールド・プラチナといった複数のグレードがあり、グレードが高くなるほど、利用可能枠(限度額)の上限も高くなる傾向があります。なお、グレードによって違いがあるのは利用可能枠だけではなく、年会費や付帯サービスの内容なども異なります。
法人カードに設定されている利用可能枠(限度額)
各法人カードには、「10万〜150万円」などの利用可能枠(限度額)の範囲があらかじめ設定されており、個別の利用可能枠はこの範囲内で決定されます。
法人カードを発行した後、利用状況に応じて利用可能枠を増額することも可能ですが、その場合でも、利用可能上限を超えることはありません。
申込者・企業の情報を踏まえた審査結果
利用可能枠(限度額)は、審査を経てカードごとに決定されます。たとえば、利用可能枠の範囲が「10万〜150万円」の法人カードであれば、あるカードの利用可能枠は50万円、別のカードは100万円といったように、審査結果に応じてそれぞれ異なる金額が設定されることもあります。
審査では、申込者や企業の情報をもとに「クレジットカードの利用金額を支払う能力があるか」が確認され、その結果に応じて適切な利用可能枠が決まる仕組みです。
法人カードの利用可能枠(限度額)はどれくらいがいい?
法人カードの利用可能枠(限度額)は、企業の利用状況によって異なりますが、、目安としては、そのカードで支払う経費の1.5ヵ月分から3ヵ月分程度があるとよいとされています 。
たとえば、毎月の経費がおよそ30万円の場合、利用可能枠は45万〜90万円程度であれば、出費が増えた月でも対応しやすくなるでしょう。
ただし、実際は企業により異なるため、自社の状況に応じて過不足のない利用可能枠を設定することが大切です。
法人カードの利用可能枠(限度額)が低い理由
法人を設立したばかりの時期や、個人事業主として開業したばかりの場合などは、申し込みのタイミングによって、利用可能枠(限度額)が低く設定されることがあります。また、企業の財務状況などによっても、利用可能枠がやや低めに設定されることもあるでしょう。
ただし、カード発行時に設定された利用可能枠が希望よりも少ない場合でも、一定期間の利用実績や支払状況に応じて、申請により増額できることもあります。
法人カードの利用可能枠(限度額)を引き上げる方法
ここでは、法人カードの利用可能枠(限度額)を引き上げる方法について紹介します。
会員専用ウェブサイト・アプリから増額申請を行う
利用可能枠(限度額)の増額申請方法はカード会社によって異なりますが、会員専用ウェブサイトやアプリ、または電話で申し込む方法が一般的です。JCB法人カードの場合は、一時的な増枠・恒常的な増枠ともに電話での申し込みのみ受け付けており、申請時に法人の本人確認書類などを提出する必要はありません。
申し込み後には審査が実施され、審査を通過すると利用可能枠が引き上げられる仕組みです。ただし、審査結果によっては希望した金額まで増額されないこともあります。
なお、増額申請には条件が設けられている場合があるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。たとえば、「発行から一定期間が経過している」、「前回の増額手続きから3ヵ月が経っている」ことなどが条件となることがあります。
また、すでに各種クレジットカードに設定されている利用可能枠の上限に達している場合は、そもそも増額の申し込みができません。
利用可能枠(限度額)が自動的に引き上げられるときもある
法人カードによっては、申込者が特に設定や申請を行わなくても、自動的に利用可能枠(限度額)が引き上げられることがあります。こうした変更があった場合には、会員専用ウェブサイトやアプリ、メールなどを通じて通知されます。
法人カードの利用可能枠(限度額)を引き上げるときに知っておきたいこと
法人カードの利用可能枠(限度額)を引き上げるには審査が必要です。ここでは、審査を通過するために知っておきたいことを2つ紹介します。
利用代金の支払いに遅れないようにする
利用可能枠(限度額)の大きさにかかわらず、法人カードは計画的に利用し、利用金額の支払いに遅れないよう意識することが大切です。支払いが遅れると、支払能力に不安があると判断される可能性があり、増額審査に通りにくくなる可能性があります。
また、支払いが遅れた場合には「遅延損害金」が発生します。遅延損害金とは、クレジットカード支払い日に支払いが行われなかった際に発生するお金のことです。支払い負担が増えることにもなるため、利用金額の支払いに遅れないよう注意しましょう。
1枚の法人カードを使い続ける
複数の法人カードを異なる金融機関から発行すれば、それぞれに利用可能枠(限度額)が設定されますが、 1枚のカードに利用を集中させることで、支払実績を蓄積しやすくなります。まとまった利用金額と継続的な支払実績があることで、増額申請時の審査においても、よい影響が期待できるでしょう。
法人カードの追加カードごとに利用可能枠(限度額)を設定できる?
法人カードのなかには、追加カードごとに個別の利用可能枠(限度額)を設定できるものもあります。こうした機能を活用することで、業務内容や部署、役職などに応じて、それぞれのカードに適した利用可能枠を設定することが可能です。
また、あらかじめ上限を設けておくことで、予算の超過や不正利用のリスクを抑える効果も期待できます。
JCBの場合、追加カードごとに個別の制限を設けられるのは「JCBコーポレートカード」のみです。
中小企業向けで従業員カードの追加発行も可能「JCB法人カード」

「JCB法人カード」は、主に中小企業や個人事業主の方向けの法人カードです。一般・ゴールド・プラチナの3種類があり、年会費や利用可能枠(限度額)が異なります。
JCB一般法人カード | JCBゴールド法人カード | JCBプラチナ法人カード | |
---|---|---|---|
年会費 | 1,375円(税込) 初年度年会費無料 (※1) | 11,000円(税込) 初年度年会費無料 (※1) | 33,000円(税込) |
追加カード 年会費 | 1,375円(税込)/枚 | 3,300円(税込)/枚 | 6,600円(税込)/枚 |
利用可能枠 | 10万~500万円(※2) | 50万~500万円(※2) | 150万円〜(※2) |
- 1 お切り替えの方は初年度年会費無料の対象となりません。
- 2 JCB法人カードを複数枚お持ちの場合、各カードにはそれぞれご利用可能枠の設定がありますが、同一発行会社のカードにおいて利用できる金額の合計は、カードの設定額のうちで最も高い金額の範囲内となります。一部対象とならないカードがあります。
年会費は、一般カードが1,375円(税込)、ゴールドカードが11,000円(税込)で、いずれもオンラインでの入会の場合は初年度年会費無料となります。どのグレードも共通して、従業員向けの追加カード発行も可能です。
利用可能枠は「JCB一般法人カード」が10万〜500万円、「JCBゴールド法人カード」は50万〜500万円です。「JCBプラチナ法人カード」は最低150万円〜となるため、利用可能枠の大きさを重視する方は検討してみるとよいでしょう。
また、「JCB法人カード」はすべてのグレードに国内・海外の旅行傷害保険を付帯しています。「JCBゴールド法人カード」と「JCBプラチナ法人カード」では空港ラウンジサービスも利用できるため、出張の機会がある方にも便利です。
個人事業主向けで最大500万円の利用可能枠(限度額)「JCB Biz ONE」

「JCB Biz ONE」は、法人代表者の方はもちろん、フリーランスや副業を含む個人事業主の方も申込可能な法人カードです。一般カードとゴールドの2種類があり、それぞれの年会費や利用可能枠(限度額)が異なります。
JCB Biz ONE 一般 | JCB Biz ONE ゴールド | |
---|---|---|
年会費 | 永年無料 | 5,500円(税込) 初年度年会費無料(※1) (年間100万円以上利用で翌年度も無料) |
利用可能枠 | 10万~500万円(※2) | 50万~500万円(※2) |
- 1 お切り替えの方は初年度年会費無料の対象となりません。
- 2 Biz ONEの他にJCBカード(個人用)をお持ちの場合、各カードにはそれぞれご利用可能枠の設定がありますが、同一発行会社のカードにおいて利用できる金額の合計は、カードの設定額のうちで最も高い金額の範囲内となります。一部対象とならないカードがあります。
「JCB Biz ONE 一般」は年会費が永年無料のため、コストを抑えながら利用したい方に向いています。「JCB Biz ONE ゴールド」は年会費は通常5,500円(税込)ですが、初年度無料で、年間100万円以上の利用で翌年度の年会費も無料になります。
なお、「JCB Biz ONE」では追加カードの発行はできません。
よくある質問
-
法人カードの利用可能枠(限度額)の平均はどれくらいですか?
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法人カードの利用可能枠(限度額)はカードのグレードによって異なりますが、10万〜500万円の範囲で設定されていることが多いです。個別の利用可能枠は、申し込み後に行われる審査によって決定されます。
-
法人カードの利用可能枠(限度額)を増枠する方法を教えてください
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増額の申し込みは、会員専用のウェブサイトやアプリなどから行うことが可能です。増額には審査があり、審査に通過することで利用可能枠(限度額)の上限が引き上げられます。
なお、増額の申し込みには条件が設けられていることがあります。たとえば、法人カードの発行から一定期間が経過していることや、前回の増額手続きから3ヵ月が経っていることなどです。増額の申し込みをする前に条件も確認しておきましょう。 -
利用可能枠(限度額)なしの法人カードはありますか?
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利用可能枠(限度額)の範囲が決められておらず、利用者ごとに個別で利用可能枠を設定できる法人カードもあります。 また、最高数億円といった高額な利用可能枠を設定できる法人カードもあります。
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- 【監修者】
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氏名:飯田 道子(いいだ みちこ)
資格:ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、他
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。どの金融機関にも属さない独立系FPです。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住や金融・保険情報を得意としています。
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法人カードであっても個人カードと同じように利用可能枠(限度額)が設けられています。利用可能枠は個人の収支に相当する財務状況によって法人ごとに異なります。利用可能枠を引き上げるためには、返済に遅れないようにする、利用頻度を上げて支払実績をあげることなどが大切です。
カードを選ぶときには、利用可能枠がいくらまでか、ポイントのたまりやすさ、法人ならではのメリットのあるカードなのかを総合的に判断して決めるといいでしょう。