資金・お金
【飲食店の開業資金アレコレ】ケース別の金額相場や主な資金用途、調達方法について
更新日:2024年5月31日
飲食店をこれから開業するにあたり、どのくらいの開業資金が必要となるのかがわからず、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。開業資金としてどのような費用が発生するのか、小さな店舗や大きな店舗など、規模によって相場に開きがあるため、目安がわかりにくい場合もあるでしょう。
この記事では、飲食店開業時に必要な資金の相場に開きがある理由やその内訳などについてわかりやすく解説しています。店舗の規模など、ケース別にみる開業資金の相場や、資金調達方法などについてもご紹介していますので、具体的な資金確保の目途や助成金活用の可否確認などにご活用ください。
この記事でわかること
- 開業資金の用途、内訳
- 店舗の規模別に見る開業資金相場
- 開業資金の調達方法
目次
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1 飲食店の開業資金の相場に開きがある理由
一般的に、飲食店の開業に必要な資金の相場は数百万円から1,000万円以上といわれることが多く、相場の開きが大きいため、相場を見てもいくら準備すればよいのかわからない、というケースも少なくないでしょう。
飲食店の開業資金の中でも、最も大きいものは「物件取得費」と「設備投資費」です。この物件取得費と設備投資費に必要な資金がケースによって異なる点が、相場が把握しにくい理由となっています。
物件取得費と設備投資費に開きができる理由としては、次のような点が挙げられます。
1-1 店舗の規模
開業しようとする店舗を選ぶ際、立地などの条件が同じであれば、敷地が広いほど取得費用は高くなるのが一般的です。
1件あたりの規模は小さくても、複数の店舗を同時に契約しようとする場合も、開業時にかかる物件取得費用は高くなるでしょう。
開業時に予定している店舗の規模が大きくなれば、比例して設備投資にかかる費用も膨らみがちです。ひとくちに「飲食店を開業する」と言っても、1人で切り盛りできる小さなカフェを開くのか、50人以上が収容できる大きなレストランを開くのかによって、開業時にかかる費用は大きく異なります。ケースによって開業資金の相場に開きが出てくるのはこのためです。
1-2 立地による違い
店舗の規模が同じであった場合でも、立地によって金額に開きが出るケースも少なくありません。繁華街や駅から近い物件、路面店などは、相場よりも取得費用が高くなりがちです。
東京23区内などの都心や商業エリアなども、郊外や駅から離れた物件よりも取得費が高いケースが多いでしょう。
1-3 設備工事、備品購入など
開業資金に開きが出る理由として、いわゆる「居抜き物件」か「スケルトン物件」かの違いも挙げられます。居抜き物件とは、前オーナーも飲食店を経営していて、当時の設備が一部店舗に残っており、そのまま使用できる物件のことをさします。スケルトン物件とは、飲食店に必要な設備や空調などが入っておらず、すべて準備する必要がある物件のことです。
飲食店の開業時には保健所へ営業許可の申請が必要で、衛生的な厨房やお手洗いの設置など、営業許可証取得のために必須の設備が入っていない場合は、工事費をかけて整える必要があります。
設備があっても古くて使えなかったり、法改正などで基準を満たしていないような場合にも、水回りや厨房設備、エアコンの購入に加えて、別途内装や配管工事が必要な場合もあるでしょう。こうした設備投資にかかる費用の差によっても、相場に開きが出てきます。
1-4 運転資金
飲食店の開業資金として見積もりを忘れがちなのが、開業後に必要な運転資金です。開業して間もない時期は知名度も集客も不安定で、赤字が出る月が続く可能性も高いため、固定費を支払って生活していけるだけの費用は必ず準備する必要があります。
最低でも数ヵ月間は赤字が続いても持ちこたえられるだけの資金を、店舗の規模に応じて設定すれば、その分だけ開業資金に開きが出ることとなるのです。
2 飲食店開業資金の用途
飲食店を開業する際に必要な資金の用途について、項目別に見ていきましょう。
2-1 物件取得費
物件取得費としては、開業する店舗を契約する際に発生する保証金、敷金、礼金、前家賃、仲介手数料などが挙げられます。
保証金か敷金・礼金になるかなど、大家の意向や地域の慣習によっても細かな内訳は異なる場合が多いでしょう。
居抜き物件の契約で設備も譲ってもらう場合は、別途造作譲渡費が発生する場合もあります。
2-2 内装、外装工事費
水回りの配管工事や厨房、エアコンなどの設備取付工事、壁面や床、カウンター設置などの内装工事と、屋根や入口、看板設置などの外装工事にかかる費用も必要となります。
工事費を抑えるポイントとしては
- 複数業者へ見積りを取る
- 飲食店の工事実績が豊富な業者から選定する
- 居抜き物件を検討する
- 中古品購入やDIYなどを活用する
などが挙げられるでしょう。設備へのこだわりには優先順位を決め、ポイントを絞って妥協できる点を見つけることで、かかる費用を抑えることが可能です。
また、ケバブサンドやバームクーヘンなど、専用の調理器具が必要なメニューを扱う際には、その分の費用も必要となります。
2-3 販売促進費
販売促進費としては、広告宣伝に必要なチラシやポスター、のぼりなどの制作費用、グルメ予約サイト契約料などが挙げられます。
無料で活用できるSNSを検討したり、広告のデザインを自身で行うといった方法で費用を抑えることができるでしょう。
2-4 運転資金
運転資金としては、毎月発生する家賃や水光熱費、通信費、各種利用料などの固定費が数ヵ月カバーできる資金と、オーナーの生活費を開業費用に含めます。
この他にも、ナプキンや食器類、開店時に使用する食材仕入れなどが開業時までに必要となります。
3 【ケース・業態別】開業資金相場
開業資金の内訳や用途がわかったところで、飲食店の坪数や立地など、店舗の規模によって考えられる開業資金の相場について「郊外で15坪」「都心で15坪」の飲食店を開業した場合の相場や、業態別の相場について見ていきましょう。
次に挙げる費用相場は、その他条件によってはさらに費用がかかったり、逆に低く抑えられるケースもあります。あくまでも参考の目安としてご活用ください。
3-1 郊外で15坪の飲食店を開業する場合の相場
郊外で15坪程度(家賃8万円想定)の飲食店を開業する場合、かかる資金の相場としては
物件取得費 | 約100万円(保証金または敷金礼金、前家賃、仲介手数料など) |
内装、外装工事費および販売促進費 | 約750万円 |
運転資金 | 約100万円(約3ヵ月分) |
合計で約900~1,000万円が目安となります。
3-2 都心で15坪の飲食店開業する場合の相場
都心で15坪程度(家賃20万円想定)の飲食店を開業する場合の費用相場としては
物件取得費 | 約200~300万円(保証金または敷金礼金、前家賃、仲介手数料など) |
内装、外装工事費および販売促進費 | 約750万円 |
運転資金 | 約200~300万円(約3ヵ月分) |
合計で約1,200~1,400万円が目安となります。
いずれも物件取得費の仲介手数料は家賃の1ヵ月分、運転資金は固定費と生活費3ヵ月分としています。
3-3 業態別の相場
店舗の立地や大きさ以外に、飲食店の業態によっても相場が異なってくるのが一般的です。
業態による開業時費用の相場としては
ラーメン屋 | 800万円~ |
カフェ | 1,000万円~ |
レストラン | 2,000万円~ |
となります。メニューの数が少なく、カウンターのみの提供スタイルが多いラーメン店は開業費用を抑えやすく、カジュアルなカフェよりもレストランの方が開業費用は高くなります。
4 開業資金の調達方法
開業資金はできるだけ自己資金で準備できるのが理想ですが、想定していない出費などもあり、運転資金にも余裕を持たせたい場合、資金が不足するケースは少なくありません。
開業資金の調達方法としては、金融機関からの融資を受けるほか、各種補助金や助成制度の活用などが挙げられます。
利用できる補助金制度や各種助成制度については都道府県によって異なり、すでに募集を締め切っている可能性もあるため、地方自治体のサイトや商工会議所などで最新の情報を確認するようにしましょう。
開業資金や開業後の追加融資の申請先としては、日本政策金融公庫の創業融資や都道府県の制度融資などが挙げられます。
4-1 融資や助成制度の申請には事業計画書の作成が重要
飲食店を一から開業する場合、実績がないため提出する事業計画書の内容が重要となります。
事業計画書は開業時の業態や店舗の規模、立地などを決める際の基盤にもなるため、資金に余裕がある場合も作っておくことをおすすめします。
事業計画書には店舗や事業の概要、代表者のプロフィールや他店にはない魅力や強み、販売戦略や損益計画などを記載するのが一般的です。
助成金活用や融資等を検討するにあたって提出が求められる事業計画書には、データ的根拠が十分あり実現可能性がしっかり担保された内容にすることが大切です。
4-2 開業資金を調達したら開業準備を始めよう
開業資金を調達したら、開業に必要な準備を始めましょう。JCBグループでは、関連会社の株式会社ジェイエムエスが開業準備のサポートとして、次のサービスを提供しています。
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5 まとめ
飲食店の開業資金は、店舗の規模や立地、設備や水回り工事の有無などによって相場に開きが出てきます。開業時に準備するべき費用の内訳や用途を把握し、運転資金の準備も必要です。
開業する店舗のイメージや融資申請時の書類として、事業計画書の作成も重要となります。開業時の資金調達後はスムーズに開業準備ができるサービスなども活用して、飲食店開業の夢を実現させましょう。
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