開業・出店
飲食店の営業許可証とは?取得までの流れや必要な書類、各種手続きの注意点など
更新日:2024年5月31日
飲食店を開業するためには、営業許可証を取得する必要があります。はじめて飲食店を開業する場合、営業許可証はどこで取得すればよいのか、取得までの流れや手順などについてよくわからないという方も多いでしょう。
この記事では、飲食店の営業許可証の種類や取得までの流れに加え、必要な書類や資格、申請時の注意点などについて解説しています。開業時や開業後の課題を解決する方法についてもご紹介していますので、飲食店の開業を進める際の参考としてお役立てください。
この記事でわかること
- 飲食店の営業許可証の概要や種類
- 営業許可証取得までの流れ
- 営業許可証取得時、取得後における注意点
目次
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1 飲食店の営業許可証とは
営業許可証が必要となる業種は古物商や各種製造業などさまざまですが、ここでは飲食店の営業許可証について解説します。
1-1 飲食店の開業には保健所の許可が必要
飲食店を開業する際には、店舗の地域を管轄する保健所へ営業許可を申請する必要があります。カフェや中華料理店、お好み焼き屋など、飲食を提供する店舗は営業許可証の取得が必要です。
飲食店の営業許可証は、保健所へ申請後に店舗での立ち会い検査を行い、衛生的な厨房設備などの要件を満たすことで取得が可能となります。
1-2 喫茶店・カフェの営業許可について
「喫茶店の営業は飲食店ではなく、喫茶店の営業許可を取ればよい」と聞いたことがある方もいるかもしれません。喫茶店の営業許可証は飲食店の営業許可証よりも簡易に取得しやすいため、喫茶店の開業時には喫茶店の営業許可証を取得すれば開業可能となっていました。
また、カフェの場合は喫茶店で営業許可を取るか、飲食店の営業許可を取るかは提供しようとするメニューや調理方法によって異なっていました。喫茶店の営業許可証では、既に調理済のフードメニューのみ提供可能なものでした。そのため、「飲食店に近い(飲食店の営業許可を取った)カフェ」と「喫茶店に近い(喫茶店の営業許可を取った)カフェ」とが混在していたのです。
しかし、2021年6月の法改正により、喫茶店の営業許可証は飲食店に統合されたため、これから喫茶店・カフェを開業しようとする方も飲食店の営業許可証が必要となっています。
2021年6月よりも以前に喫茶店を開業した方は、有効期限内は喫茶店の営業許可証を使用して営業することが可能です。届出の方法や詳細など、不明な点については管轄の保健所へ確認するようにしましょう。
1-3 営業許可証の種類
飲食に関連する営業許可証にはいくつかの種類があり、営業形態によっては複数の許可申請が必要となる場合もあります。次に挙げるケースでは、別途許可申請が必要となります。
- 菓子製造(パン、製菓)
パン屋やケーキ屋など、店内でお菓子の製造をする場合には、菓子製造の営業許可が必要です。製造したパンを購入した顧客に飲み物を添えて提供する場合には、飲食店の営業許可申請は不要です。パン以外のメニューを提供する場合は飲食店の営業許可申請が必要となる場合があるため、詳しくは最寄りの保健所へ確認することをおすすめします。
- 深夜営業(バー)
深夜0時AM以降に店内でお酒の提供をする場合は、飲食店の営業許可とは別に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」の届出が必要となります。深夜酒類提供飲食店営業開始届は、店舗がある地域の最寄りの警察署へ届出を行います。
このほかにも、店舗や業種によっては別途届出や許可申請が必要となるケースがあります。不明な点は管轄の保健所へ問い合わせてみるようにしましょう。
2 飲食店の営業許可証取得までの流れ
飲食店営業許可証を取得するまでの大まかな流れについて見ていきましょう。
2-1 事前相談
まずは営業許可の申請について、店舗を管轄する保健所に事前相談へ行きます。事前相談へ行く際は、店舗の図面を持参するとスムーズです。不明な点などがあれば、事前相談で確認するようにしましょう。
2-2 申請
事前相談で確認した内容をもとに、店舗の内装や設備などの工事や開店準備を進めます。施設が完成する予定の10日ほど前になったら、必要書類などを準備して保健所へ営業許可申請を行います。申請時に必要な書類としては
- 営業許可申請書
- 食品衛生責任者資格証明書類
- 設備の配置などが確認できる図面
- 許可申請手数料
などが挙げられます。
食品衛生責任者の資格は、飲食店の営業許可申請の際に必ず必要となる資格です。
また、法人の場合は登記事項証明書、タンク水や井戸水を使用する場合は水質検査成績書なども必要となります。
2-3 打ち合わせ
検査日の日程調整など、保健所の担当者と打ち合わせをします。
2-4 確認検査
保健所の担当者による立ち会いのもと、設備などが営業許可証の取得に必要な要件を満たしているかの検査を受けます。
検査で問題がなければ、後日営業許可証が交付されます。交付を受ければ飲食店として営業が可能です。
3 飲食店の営業許可証を取得する際の注意点
飲食店の営業許可証を取得する際の注意点について解説します。
3-1 必要な資格は早めに取得しておく
飲食店の営業許可申請時には、食品衛生責任者の資格を証明する書類が必須となります。食品衛生責任者の資格は、全国の食品衛生協会が主催する講習を受講すれば取得が可能なため、取得の難易度は高くありません。しかし、開催スケジュールが合わなかったり、満席で受講できなかったりするケースもあるため、飲食店の開業を検討する場合は早めに取得しておくことをおすすめします。
なお、食品衛生責任者は調理師や栄養士、医師や薬剤師などの免許を持っている場合は講習の受講が免除されます。
3-2 許可証取得前に営業しない
営業許可証は、立ち会い検査をクリアすることで交付が受けられるため、検査日までに必要な工事が完了するよう、日程管理を行うことも大切です。立ち会い検査で営業許可に必要な要件を満たしていないとみなされた場合は、不足事項を改善した後、再度検査を受けることとなります。
営業許可証が交付されない間は、営業を開始することはできません。もし許可証の取得前に営業をした場合、無許可営業(食品衛生法第52条)として、2年以下の懲役または200万円以下の罰金といった罰則処分を受けることとなるため注意しましょう。
立会検査がクリアできるように開店準備を整え、オープン予定日までには許可証が取得できるよう、スケジュールは余裕を持って計画的に進めることが大切です。
3-3 更新時期に注意する
飲食店の営業許可証には有効期限があります。許可証取得後は有効期限が切れる前に更新手続きをしないと、営業ができなくなってしまいます。
許可証の更新時期は各自治体によっても異なりますが、5年~8年に設定されているのが一般的です。
建物の構造や衛生的な状態の継続、店舗の築年数などが有効期間に影響しやすいため、築年数の古い店舗は特に更新時期に注意するようにしましょう。
3-4 開店準備も並行して進める
営業許可証の取得をスムーズにするためには、開業までにやるべきことを計画的に進めることが大切となります。営業許可証の取得と店舗の内装や設備、外装工事を進める以外にやるべきこととしては、次のようなものが挙げられます。
- 防火管理者の届出
収容人数が30名を超える大型店舗など、条件によっては最寄りの消防署へ防火管理者の届出が必要となる場合があります。防火管理者の資格は、全国の防火・防災センターが主催する講習を受講することで取得が可能です。
- 食器、家具、家電製品などの購入
開店するにあたって必要となる食器類やテーブル、椅子、棚、調理家電製品などを購入します。開店前に配布するオープン告知のチラシやポスター、看板などの設置も必要です。
- 食材の仕入先選定
メニューに必要な食材の仕入先を選定します。仕入先は複数確保し、安定して食材を購入できるようにしておくとよいでしょう。仕入でかかった原価を基にメニューの売価を設定することとなるため、季節に応じた値動きなども確認します。消費税課税事業者となる場合は、インボイス制度に対応している仕入先かどうかも要チェックです。
- 決済方法の選択
クレジットカードや電子決済など、近年では決済方法の手段も多様化してきています。幅広く集客するためには、多様な決済方法に対応することも大切です。決済方法に合わせた端末の準備や、現金払いの場合はレジの導入も必要です。領収書やレシートなど、インボイス制度への対応も考慮して選定するようにしましょう。
このほかにも、宣伝用のSNSアカウントの登録やインバウンド対応、開業届など税務関連の申請など、開業に必要な準備はたくさんあります。優先順位を決めてスムーズに準備を進めるために、リストアップするなどして管理できるようにすることをおすすめします。
3-5 開業時や開業後の課題解決をサポートするサービスのご案内
JCBグループでは、開業時や開業後を含む、各種課題に合わせたさまざまなサービスやサポートを提供しています。
JCB加盟店Oh!ENサイトでは、振込・売上情報をかんたんに確認できるJCB Link、多様なビジネスシーンを応援する法人カードなど、加盟店の皆様が利用できるさまざまなサービスをご案内しています。
tance mallは、モバイルオーダーやインバウンド集客など、店舗運営に役立つサービスを利用シーンに応じたデバイスで使えるプラットフォームで、店舗の困りごとをまるっと解決します。
4 まとめ
飲食店の開業にあたっては、店舗を管轄する保健所へ申請を行い、営業許可証を取得する必要があります。営業許可証の取得には、厨房設備や衛生面での要件をクリアしなければなりません。また、飲食店の営業許可証のほかに別途届出が必要なケースもあるため、店舗物件の取得前に図面を持参して保健所に事前相談へ行くのが一般的です。
必要書類の提出、必要な資格の取得、設備を整えるための工事発注などや、立ち会い検査を経て問題がなければ営業許可証が交付されます。他の開業準備と併せて、活用できるサポートやサービスなども検討しながら、スムーズに開業準備を進めていきましょう。
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