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個人事業主は電気代を経費にできる?仕訳方法や領収証書がないときの対処法
公開日:2026年7月31日

個人事業主は、電気代を経費として計上できる場合があります。ただし、必ずしも電気代の全額を経費にできるわけではありません。自宅兼事務所の場合は、「家事按分」の考え方にもとづき、事業で使用した割合を明確にし、その分を経費として計上する必要があります。
適切な割合を決めるためにも、家事按分の考え方や計算方法を理解しておくことが大切です。
この記事では、個人事業主が電気代を経費にするときの「家事按分」の考え方や割合の求め方、仕訳方法などをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 家事按分では、事業で電気を使用した時間などをもとに経費の割合を決める
- 電気代を経費にする場合は、その割合の根拠を明確に示す必要がある
- 電気代を経費にする際、勘定科目は「水道光熱費」を使用する
目次
- 記載の内容は2026年7月時点のものです。
個人事業主は電気代を経費にできる場合がある
個人事業主は、事業専用の物件だけでなく、自宅で事業を行う「自宅兼事務所」の電気代も経費にできる場合があります。
事業専用物件の場合、電気代は全額(100%)を経費に計上できます。一方、自宅兼事務所では、電気代のすべてを経費にすることはできません。事業で使用した割合に応じて、経費計上することになります。
また、この割合は自分の感覚で決めるのではなく、事業で実際に使用している時間や使用状況などの根拠にもとづいて設定する必要があります。
電気代以外に水道代・ガス代なども経費にできる
自宅においてプライベートと事業の両方で使用している費用のなかには、電気代以外にも経費にできるものがあります。
たとえば、次のような費用が該当します。
経費にできるものの例
- 家賃
- 水道代
- ガス代
- 通信費(インターネット代など)
なお、これらの費用も、事業で使用した割合を根拠に決める必要があります。
個人事業主が電気代を経費にできるケース
個人事業主が自宅兼事務所や事業用に借りている物件で使用する電気代は、どちらも経費にできます。ただし、どちらに該当するかによって経費にできる割合が異なります。
自宅兼事務所として利用している
自宅兼事務所では、作業環境を整えるために照明や冷暖房などで電気を使用するほか、パソコンなどを業務で使う場合にも電気を消費します。さらに、職種によっては業務用機器を使用するため、追加で電気代がかかることもあるでしょう。
このように、業務のために使用した電気代は、事業で使用した割合を経費として計上できます。
事業専用に物件を借りている
自宅とは別に、事業を行う専用の部屋や建物を借りている場合、そこで使用した電気代は全額(100%)を経費にできます。
このような場合は、事業用の口座やクレジットカードで電気代を支払うようにしておくと、事業の支出を管理しやすくなり、仕訳もスムーズに行えるでしょう。
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個人事業主が電気代を経費にできないケース
事業として使用する時間を明確にできない場合や、一緒に暮らしている家族に電気代を支払う場合は、経費にできない可能性があります。
事業として使用する時間を明確にできない場合
電気代を経費に計上する割合は、「事業で使用した時間」をもとに考えることが一般的です。
そのため、事業で使用した時間の記録を残していない場合や、根拠を示せない場合は、電気を使用していても経費として認められない可能性があります。
特に、事業で使用する時間の割合が50%以下の場合は、合理的な按分割合を設定できなければ、経費計上は難しいでしょう。
詳しくは「青色申告と白色申告で家事按分の取り扱いが異なる」をご覧ください。
一緒に暮らしている家族に支払う場合
家族に支払った電気代や、電気代を含む生活費は、経費に計上できません。
ただし、生計を同一にする親族が電力会社へ電気料金を支払っている場合は、経費にできる可能性があります。
たとえば、妻が自宅兼事務所で個人事業主として働いており、電気料金が夫名義の口座から引き落とされている場合を想定します。この場合、妻の収入のなかから夫の口座に電気代を入金していても、実際には妻から夫への支払いではなく、電力会社へ支払っていることになります。そのため、条件を満たせば電気代を経費に計上することが可能です。
なお、この場合も、電気を事業で使用している根拠を明確にしたうえで、電力会社への支払いを確認できる請求書や口座引き落としの記録などの書類を保管しておく必要があります。
電気代を経費にするときの「家事按分」とは
上述した通り、自宅兼事務所の電気代は全額を経費にすることはできません。経費として計上できるのは事業で使用した電気代のみであり、この考え方を「家事按分」といいます。
家事按分とは、事業とプライベートで共用している費用について、事業で使用した割合のみを経費として計上する方法です。
電気代の場合は、事業で電気を使用した時間をもとに割合を決めることが一般的です。
次の条件をもとに、家事按分の割合と経費として計上できる電気代を計算してみましょう。
前提条件
- 業務時間:1日8時間、週5日
- 1ヵ月の電気代:8,000円
| 1週間の合計時間 | 24時間 × 7日 = 168時間 |
|---|---|
| 1週間の業務時間 | 8時間 × 5日 = 40時間 |
| 業務時間の割合 | 40時間 ÷ 168時間 = 約24%(約0.238) |
| 業務で使用した割合に応じた電気代(家事按分) | 8,000円 × 24% = 1,920円 |
この場合、1ヵ月の電気代8,000円のうち約24%を事業用の割合として考え、1,920円を経費として計上できます。
なお、電気代は月ごとに変動することがありますが、家事按分の割合は変わりません。毎月同じ割合で計算します。
青色申告と白色申告で家事按分の取り扱いが異なる
青色申告・白色申告に限らず、自宅兼事務所における電気代は、事業での使用割合が50%を超える場合に経費として認められます。
青色申告の場合は、家事按分の割合が50%以下でも、電気代を事業で使用していることを示せる根拠があれば経費にできます。なお、白色申告では、事業での使用割合が50%以下の場合は経費として認められない可能性もありますが、50%以下でも合理的な根拠を示せれば、経費計上が可能です。
いずれの場合も、家事按分の割合を決めた根拠を記録し、書類として保管しておくことが大切です。税務署から説明を求められたときに、根拠を説明できるようにしておきましょう。
電気代のような家事按分が必要な費用は、支出の管理や仕訳に時間がかかることもあります。そのような場合、会計ソフトと連携できる法人カードで支払いをすると便利です。
電気代を経費にするときの仕訳方法・勘定科目
ここでは、電気代を経費にするときの仕訳方法を紹介します。電気代の勘定科目は、通常「水道光熱費」を使用します。
家事按分する場合の仕訳
1ヵ月の電気代8,000円のうち30%を事業用、70%を私用として家事按分する場合、事業用の2,400円を「水道光熱費」、私用の5,600円は事業に関係しない支出のため「事業主貸」で処理します。
[口座振替の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 3/10 | 水道光熱費 | 2,400円 | 普通預金 | 8,000円 |
| 事業主貸 | 5,600円 | |||
口座振替の場合、貸方の勘定科目は「普通預金」を使います。
クレジットカードの場合、電気代を支払った時点では貸方を「未払金」で処理します。事業用のクレジットカードで電気代を支払った場合の仕訳例は次の通りです。
[クレジットカード支払い時の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 3/10 | 水道光熱費 | 2,400円 | 未払金 | 8,000円 |
| 事業主貸 | 5,600円 | |||
クレジットカードの利用代金が口座から引き落とされたときは、未払金を普通預金で清算します。
[クレジットカード引き落とし時の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 4/27 | 未払金 | 8,000円 | 普通預金 | 8,000円 |
プライベート用のクレジットカードで支払った場合は、事業主が事業の支出を立て替えた扱いとなるため、帳簿には事業分のみを「事業主借」で記録します。カード会社への支払義務は事業ではなく個人にあるため、「未払金」は使用しません。
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 3/10 | 水道光熱費 | 2,400円 | 事業主借 | 2,400円 |
事業専用物件の場合の仕訳
事業専用物件では、電気代をすべて経費として計上できます。1ヵ月の電気代が8,000円の場合の仕訳は次の通りです。
[口座振替の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 3/10 | 水道光熱費 | 8,000円 | 普通預金 | 8,000円 |
事業用のクレジットカードで支払った場合の仕訳例は次の通りです。
[クレジットカード支払い時の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 3/10 | 水道光熱費 | 8,000円 | 未払金 | 8,000円 |
[クレジットカード引き落とし時の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 4/27 | 未払金 | 8,000円 | 普通預金 | 8,000円 |
家賃に電気代が含まれる場合の仕訳
シェアハウスなど、電気代や水道代が家賃に含まれている場合は、家賃の一部を家事按分として経費にします。
家賃には「地代家賃」の勘定科目を使用します。電気代・水道代・ガス代込みの家賃が月7万円で、そのうち30%を経費にする場合の仕訳例を見てみましょう。
[口座振替の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 3/10 | 地代家賃 | 21,000円 | 普通預金 | 70,000円 |
| 事業主貸 | 49,000円 | |||
口座振替の場合は、貸方を「普通預金」で処理します。
事業用のクレジットカードで支払った場合の仕訳例は次の通りです。
[クレジットカード支払い時の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 3/10 | 地代家賃 | 21,000円 | 未払金 | 70,000円 |
| 事業主貸 | 49,000円 | |||
[クレジットカード引き落とし時の仕訳例]
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 4/27 | 未払金 | 70,000円 | 普通預金 | 70,000円 |
電気代が家賃に含まれている場合も家事按分の考え方を適用し、事業で使用している割合に応じて計算しましょう。

クレジットカードで経費を支払った場合の確定申告|仕訳例や明細の扱い方
個人事業主が電気代などの生活費を経費にするときの注意点
個人事業主が電気代などの生活費を経費にする際は、次の2点に注意しましょう。
領収証書や代わりになるものを保管する
電気代などの生活費に限らず、経費として計上するものは、支払った証拠となる書類を一定期間保管する必要があります。
ただし、銀行口座からの引き落としやクレジットカード払いで支払う場合、領収証書が発行されないことがあります。このような場合は、領収証書の代わりに、電気代を支払ったことを確認できる書類を保管しましょう。
たとえば、口座振替であれば通帳、クレジットカードであれば利用明細などが支払いの証明になります。
なお、電力会社によっては、ウェブサイト上で領収証書をダウンロードできる場合もあります。
家事按分の割合は一貫性をもたせる
電気代は、冷暖房を使用する時期は高くなるなど、季節によって変動することがあります。その場合でも、家事按分の割合は原則として変更せず、継続して同じ割合を使用することが大切です。
個人事業主が経費にできないもの
生活に関連する費用は、電気代や水道代、ガス代、家賃のように事業に関係するものであれば経費として計上できる一方で、経費にできないものもあります。
経費にできない支出の例
- 食費(個人的な飲食代)
- 医療費
- 自分の健康診断や人間ドックの費用
- プライベートのみで使用する車の費用(ガソリン代など)
- プライベートのみで使用する衣服費や消耗品費
ただし、接待を伴う飲食費や業務上必要な衣類(作業着など)の購入費用は、経費として認められる場合があります。
毎日の経理作業や確定申告の作業を効率化する法人カード
電気代のように毎月発生する費用の支払いには、法人カードを活用すると便利です。法人カードを使うと便利な理由のひとつが、会計ソフトとの自動連携です。
個人事業主は日々の帳簿付けのために、会計ソフトを利用することもあるでしょう。
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- ショッピングガード保険
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よくある質問
-
個人事業主が自宅の電気代を経費にすることはできますか?
-
自宅兼事務所として利用している場合や、事業専用に物件を借りている場合は、電気代を経費にできます。
ただし、自宅兼事務所の場合、経費にできるのは事業に使用している割合のみです。事業に使用している割合については、明確な根拠を示す必要があります。 -
電気代を経費にするときの割合の決め方を教えてください。
-
自宅兼事務所の場合は、電気代の全額を経費にすることができないため、家事按分をしなければなりません。割合は「事業で電気を使用した時間」をもとに決めます。
「1週間のうち何日仕事をしているか」「1日何時間仕事をしているか」を考え、その割合を決める必要があります。 -
電気代の領収書がない場合、どうすればいいですか?
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口座振替やクレジットカード払いの場合、電気代を支払ったときの領収書が発行されないことがあります。
その場合、口座振替の場合は通帳、クレジットカード払いの場合は利用明細など、代わりの書類を保管しておきましょう。
なお、電力会社によっては、ウェブサイト上で領収書をダウンロードできる場合もあります。 -
電気代以外の水道代やガス代も経費にすることはできますか?
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電気代と同様に、事業で使用していることを証明できれば、水道代やガス代も経費にできます。
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帳簿付けの際、電気代はどの勘定科目を使用しますか?
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電気代の勘定科目は「水道光熱費」を使用します。家事按分する際、プライベートの分も一緒に支払っているときは「事業主貸」で処理します。
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- 【監修者】
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氏名:飯田 道子(いいだ みちこ)
資格:ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、他金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。どの金融機関にも属さない独立系FPです。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住や金融・保険情報を得意としています。
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個人事業主の場合、自宅で仕事をすることが多いため水道光熱費を経費として計上するケースが少なくありません。とはいえ、すべて経費になるのではなく、家事按分によって計上できる割合が変わります。1ヵ月で事業として何時間利用したのか、特定の部屋で作業をしているのかなどがポイントです。なかでも電気は照明、冷暖房、パソコン等の事務機器など利用量が多くなりますので、しっかり経費にできるように計算しましょう。