法人カードの基本をおさえる
個人事業主が家賃を経費にする方法。家事按分や仕訳の方法も解説
公開日:2026年7月17日

個人事業主は、事業専用の物件のほか、自宅で事業を行う「自宅兼事務所」の家賃も経費にできます。
ただし、自宅兼事務所では家賃を全額経費にできないため、事業で使用する面積や時間など、合理的な根拠をもとに割合を決めることが必要です。
家事按分は家賃だけではなく、そのほかの費用を考える際にも利用できます。家賃を経費にできる仕組みや、できない理由を把握しておきましょう。
この記事でわかること
- 家賃は、事業で使用している範囲のみを経費にできる
- 自宅兼事務所の場合、事業で使用する「面積」または「時間」の根拠に基づいて家事按分する
- 家賃の仕訳は「地代家賃」や「事業主貸」などの勘定科目を使用する
目次
個人事業主は家賃を経費にすることができる
個人事業主は、事業で使用する自宅兼事務所の家賃を経費にできる場合があります。
家賃を経費にするメリットは、経費として計上すると課税所得が減り、税金の負担が軽くなる可能性がある点です。家賃はまとまった金額になりやすいため、節税効果が期待できます。
まずは、現在支払っている家賃が経費の対象になるかどうかを確認しましょう。
家賃を経費にできるケース
個人事業主が家賃を経費にできるのは、主に次の2パターンです。
自宅兼事務所として利用している
自宅を事業でも利用している「自宅兼事務所」では、家賃を経費にできます。
事業で使用する「面積」、または「時間」の割合を決定し、その金額分のみを経費にしましょう。
また持ち家の場合、開業後に取得した自宅兼事務所も、一部を経費にできます。
事業専用に物件を借りている
自宅とは別に、事業専用の物件を借りている場合も、家賃を経費にできます。
事業に使用していることを明確にできるため、家賃の100%を経費として計上可能です。
支払っている家賃をまとめて経費にできる場合、事業用カードから引き落とされるようにしておけば、プライベートの支出と混ざることなく、確定申告時の集計が圧倒的にスムーズになります。経費の支払いに活用できる法人カードのメリットもチェックしておくと便利です。
家賃を経費にできないケース
個人事業主が家賃を経費にできないのは、主に次の2パターンです。
事業として使用している区分を明確にできない場合
自宅兼事務所では、事業で使用する時間や面積に関する書類などの合理的な証拠を残せないときは、経費として計上できないことがあります。
白色申告では、事業で使用する割合が50%未満の場合、経費への計上が難しくなります。
税務調査で指摘された際に、根拠を示せる書類や、家賃を支払った際の領収証書などを提出できるようにしておきましょう。
一緒に暮らしている家族に支払う家賃
生計を一にしている家族や親族に対して支払う家賃は、原則として経費に計上できません。
一方で、同一生計の親族が、同一生計に該当しない立場の不動産会社に家賃を支払っている場合は経費にできます。
このケースでは、誰と生活をしているかではなく、誰に家賃を支払っているかがポイントです。
家賃を経費にするときの「家事按分」とは
家賃は経費として計上できますが、全額を経費にすることは難しくなります。
たとえば、衣食住をする自宅を事業に使っている「自宅兼事務所」の場合、家賃の全額を経費にすることはできません。経費として計上できるのは、事業に使用する範囲のみとなり、この考え方を「家事按分」といいます。
家事按分とは、事業とプライベートの利用費用が混在している場合、事業に使用した費用の割合を経費として計上する方法です。
家賃における家事按分の考え方としては、主に「面積」と「時間」の2つがあります。
事業で使う「面積」で決める場合
1つ目に、自宅兼事務所において、事業のみで使う場所の面積から、割合を決める方法です。
たとえば家賃10万円/月の自宅兼事務所が30平米、その半分(50%)の15平米を事業で使用していれば、5万円を経費として計上できます。
面積で決める方法は、事業とプライベートの空間が明確に分かれており、面積を把握できる場合に向いています。ワンルームなど、事業とプライベートの空間を分けるのが難しい場合は、不向きといえるでしょう。
事業で使う「時間」で決める場合
2つ目に、事業をしている時間で割合を決める方法です。
たとえば1週間のうち5日、1日8時間事業をしている場合、1週間の稼働時間は合計40時間です。
1週間あたりを計算する場合、1週間は168時間であるため、「40時間÷168時間=0.238……」と計算します。
1週間のうち稼働時間は約24%となることから、家賃の24%を経費にでき、家賃10万円/月の場合、2.4万円を経費として計上できます。
時間で決める方法は、事業とプライベートの空間が区別しづらいワンルームなどの物件に住んでいる場合に向いているでしょう。
家事按分における青色申告と白色申告の違い
家事按分では、事業に使用している割合で経費計上する金額を決定しますが、青色申告と白色申告では少しルールが異なります。
青色申告の場合、家事按分が50%未満でも事業に関する費用を示す根拠が明確であれば、家賃を経費にすることが可能です。
一方白色申告では、家事按分が50%未満の場合、経費として計上できないことがあります。ただし、合理的な根拠を明らかにすることで50%未満でも経費として計上可能です。
確定申告の方法を問わず、家事按分の割合の根拠となるものを保管し、税務署から説明を求められた際に説明できるようにしておきましょう。
家賃を経費にするときの仕訳の方法
ここでは、4パターンの仕訳方法を見ていきましょう。
家賃を仕訳する際、通常は「地代家賃」の勘定科目を使用します。
家事按分をする場合
家事按分するときの仕訳方法は次の通りです。こちらの例では、口座振替で家賃を支払っている例です。
[家賃10万円/月、事業に使用する割合が60%の場合]
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 60,000円 | 普通預金 | 100,000円 |
| 事業主貸 | 40,000円 | ||
[家賃10万円/月、事業に使用する割合が30%の場合]
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 30,000円 | 普通預金 | 100,000円 |
| 事業主貸 | 70,000円 | ||
プライベートに関する支払いを事業用の口座から支払う場合、「事業主貸」の勘定科目を使用します。
事業専用の物件の場合(100%経費)
事業専用の物件では、家賃の全額を経費にできます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 100,000円 | 普通預金 | 100,000円 |
1ヵ月ごとに経費計上する場合
毎月10日に家賃10万円を、口座振替で支払っている仕訳の例は次の通りです。
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 1月10日 | 地代家賃 | 100,000円 | 普通預金 | 100,000円 |
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 2月10日 | 地代家賃 | 100,000円 | 普通預金 | 100,000円 |
1年分をまとめて経費計上する場合
1年分の家賃をまとめて支払っている場合、当年分と翌年分で区別し仕訳する必要があります。
たとえば4月10日に一括で引き落とされた場合、4月分から12月分は当年分で「地代家賃」、1月分から3月分は翌年分となるため「前払費用」の勘定科目を使用して仕訳します。
ここでは、家賃10万円/月、1年分の家賃合計120万円の場合を例に見ていきましょう。
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 4月10日 | 地代家賃 | 900,000円 | 普通預金 | 1,200,000円 |
| 前払費用 | 300,000円 | |||
前払費用として処理した金額は、翌年に地代家賃として振り替えます。
| 日付 | 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|---|
| 1月1日 | 地代家賃 | 300,000円 | 前払費用 | 300,000円 |
勘定科目の前払費用は家賃だけではなく、1年分を一括で支払う保険料や広告費用、ソフトウェアなどの年間ライセンス費用などでも使えます。
個人事業主が家賃を経費にするときの注意点
個人事業主が家賃を経費にするときは、次のポイントに注意しましょう。
家賃が経費だと証明するための書類を保管しておく
家賃を経費として計上するには、次の書類を保管しておく必要があります。
- 家事按分の割合の証拠になるもの
- 家賃を支払った証拠になるもの
家事按分の証拠になるもののひとつに、「賃貸契約書」があります。書類には面積や間取りがかかれており、事業に使用しているスペースはどれくらいかを示すことが可能です。時間で家事按分をする場合は、日々の稼働時間をメモしておくとよいでしょう。
家賃を支払った証拠になるものとしては、銀行口座の引き落とし明細や、保証会社が発行する支払証明書などがあります。家賃の場合、買い物のように都度領収証書が発行されるわけではないため、これらの書類を保管しておきましょう。
賃貸物件の敷金は経費にできない
賃貸物件を借りた際、敷金を支払うことがあります。敷金は通常、退去時に返金されるため、家賃のように経費として計上できません。
礼金は返金されないもののため、一般的に経費として計上できます。
礼金の仕訳は、金額によって使用する勘定科目が異なります。
- 20万円未満:地代家賃
- 20万円以上:長期前払費用
20万円を超えており長期前払費用として仕訳をする際は、契約期間に応じて償却が必要です。
住宅ローンの元金は経費にできない
住宅ローン返済中の自宅兼事務所の場合、ローンで返済している一部の費用を経費にできる場合があります。経費にできるもの、できないものは次の通りです。
住宅ローンの関連費用で経費にできるもの
- 住宅ローンの利息
- 火災保険料
- 地震保険料
住宅ローンの関連費用で経費にできないもの
- 住宅ローンの元金
返済の多くを占める元金は、経費にできない点に注意しましょう。なお経費にできるものも、家事按分が必要です。
住宅ローン控除が受けられない場合がある
住宅ローン控除が適用されるのは、自宅部分のみです。事業で使用する経費と重複して控除を受けることはできないため注意しましょう。
また、事業で使用する面積や時間の割合が50%を超える場合も、住宅ローン控除が受けられないため注意が必要です。
家賃以外で個人事業主が経費にできるもの
自宅兼事務所で事業をしている場合、主に次の費用は経費にできる場合があります。
個人事業主が経費にできるもの(例)
- 水道光熱費
- 通信費(電話、インターネット関連)
- 修繕費(自宅兼事務所の維持・管理に必要な費用)
- 車両費(車両本体と、ガソリン代や修理費、保険料など維持・管理に必要な費用)
- 消耗品費(パソコンや周辺機器、ソフトウェア、事務用品)
たとえば水道光熱費の場合、家賃同様に事業で使用したぶんのみを経費にできるため、家事按分が必要です。
ただし水道光熱費は家賃のように、「何割を事業で使用した」を区分するのが難しくなります。そのため、事業で使用する時間や日数などを根拠に割合を決めましょう。
個人事業主が経費にできないもの
個人事業主が経費として計上できないものには、次のような費用があります。
個人事業主が経費にできないもの(例)
- 食費
- 生活費
- 日用品費
自宅兼事務所で事業をしている場合でも、プライベートで使用するものは経費として計上できません。日用品に関するものを事業に使用する場合は、事業で使用している根拠を示す必要があります。
なお衣類は、業務上必要な作業服や衣装であれば経費として計上できます。
経費の支払いには経理作業を効率化できる法人カードが便利!
家賃をはじめとする経費の支払いには、法人カードが便利です。
「法人カード」という名称ですが、個人事業主も申し込むことができる事業用のクレジットカードです。
法人カードで経費の支払いをすると、ポイントがたまっておトクになることや、経理作業の負担を軽減しやすくなるメリットがあります。
経理作業の負担が軽減できる理由としては、法人カードと会計ソフトの「自動連携」にあります。自動連携をすることで、法人カードの利用明細が会計ソフトに自動的に記録され、法人カードで支払った経費においては通常、手動で仕訳をする必要がありません。また、会計ソフトによっては銀行口座の自動連携もできます。
これらの機能によって、億劫になりやすい確定申告に関する作業も軽減しやすいでしょう。
JCBの個人事業主・フリーランス向けの法人カード「JCB Biz ONE」で自動連携できる会計ソフトは、次の通りです。
- マネーフォワード クラウド会計
- FXクラウドシリーズ
- 弥生会計
- freee会計
- ソリマチの会計王シリーズ
- MoneyLook
次の章では、これらの会計ソフトと自動連携できる「JCB Biz ONE」について詳しく解説します。
年会費永年無料!コストを抑えながら使える法人カード「JCB Biz ONE 一般」
「JCB Biz ONE 一般」は年会費が永年無料の法人カードです。
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JCBの法人カードでは、会員専用の資金管理・キャッシュフロー改善ポータル「Cashmap」が利用できます。「Cashmap」では、銀行口座やクレジットカードなどの入出金情報をまとめて把握できることが特長です。金銭に関する情報を把握しやすいだけではなく、キャッシュフローの改善にも役立ちます。
充実したサービスが欲しいなら「JCB Biz ONE ゴールド」
「JCB Biz ONE ゴールド」は、年会費5,500円(税込)、初年度無料の法人カードです。通常年会費がかかりますが、年間利用額100万円(税込)以上で、翌年度も無料になるため、毎月まとまった金額の経費を支払う方にとって便利です。
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よくある質問
-
個人事業主が家賃を経費として計上する方法を教えてください
-
自宅兼事務所では、どれくらいの割合で事業に使用しているかを考え家事按分します。
家事按分は、事業に使っている「面積」または「時間」で考えることができ、事業に使用する範囲のみを経費として計上することができます。
なお、事業専用の物件を借りている場合は、家賃の100%を経費にすることが可能です。 -
個人事業主は家賃をいくらまで経費にすることができますか?
-
個人事業主の場合は、経費として計上できる金額の上限は決められていません。
ただし、経費として計上するには、明確で合理的な根拠に基づいた家事按分が必要です。
事業に関連がないものや、常識の範囲を大きく超える金額の支払いは、経費として認められない場合があります。不明点は、税理士などに相談し正しい方法で経費計上しましょう。 -
家族名義の賃貸物件の家賃も経費にすることはできますか?
-
自分が支払った家賃を、家族や親族が不動産管理会社などの第三者に支払っている場合、経費にすることが可能です。一方で、不動産管理会社などに支払っておらず、生活費の一部として支払っている場合は経費にすることができません。
ここでは、賃貸物件で生活する夫婦を例に紹介しましょう。
妻が個人事業主で、夫名義の賃貸物件に住んでいます。妻が夫に家賃を支払い、夫が不動産管理会社に家賃を支払っている場合であれば、妻が支払った家賃を原則として経費に計上することは可能です。
個人事業主である妻が家賃を経費にする場合は、妻が事業で使用している物件の面積、もしくは事業の稼働時間で家事按分し、その割合のみを経費にできます。 -
個人事業主が家賃を経費にするメリットを教えてください
-
家賃に限らず、経費を計上することで課税所得が減る仕組みから、節税できるというメリットがあります。
家賃はまとまった金額になりやすいため、節税効果が期待しやすいでしょう。 -
個人事業主が家賃を経費にする場合、どの勘定科目を使って仕訳をしますか?
-
家賃を仕訳する場合、「地代家賃」の勘定科目を使用します。
家事按分する際は、プライベートの金額は「事業主貸」を使用して仕訳しましょう。
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- 【監修者】
-
氏名:高柳政道(たかやなぎ まさみち)
資格:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、DCプランナー2級一級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得後、2020年5月に金融コラムニストとして独立。企業に属さないFPとして投資商品の選び方を中心に情報を発信。
資産運用・生命保険・相続・ローンなど、多岐に渡るジャンルの執筆及び監修業務を手掛け、関わった記事数は500を超える。
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自宅兼事務所の家賃は節税の大きな味方になりますが、経費にするための絶対条件は「事業で使っている部分を客観的に証明できること」です。仕事部屋の床面積などで合理的に計算(家事按分)しましょう。逆に、生活スペースと混同していて明確な説明ができない場合や、白色申告で業務割合が50%未満の場合は、経費として認められにくくなります。まずは間取り図などで仕事専用のスペースをはっきりと区分けすることをおすすめします。