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個人事業主がスーツを経費にできるケース。できない場合と仕訳の方法

公開日:2026年7月17日

個人事業主がスーツを経費にできるケース。できない場合と仕訳の方法

個人事業主が事業で使用するために購入したスーツは、一般的に私用との区別が難しく、経費として認められにくい支出です。例外的に、業務上必要であることを客観的に資料などで証明できる場合に限り、経費として計上できる可能性があります
本記事では、個人事業主がスーツを経費にできる具体的な条件や、経費に含めることが難しいケース、実際の仕訳方法などを解説します。適切な経理処理を行い、不備のない確定申告を進めるための参考にしてください。

この記事でわかること

  • スーツを経費にするには「業務上不可欠であること」と「私用で使っていないこと」の証明が必要
  • 業務で使用する場合でも、時計やバッグは「私用のもの」とみなされることが多い
  • スーツの勘定科目は「消耗品費」を使い、高額過ぎるブランド品などは避けたほうがよい

スーツが経費として認められにくい理由

個人事業主が事業を運営するうえで、業務上必要なものを購入した際の費用は、経費として計上することが可能です。しかしスーツの場合、業務だけではなく私用でも着用できる衣服であり、公私の判断がしづらい側面があります。国税庁によると、こうした私生活と業務の境界が曖昧な「家事関連費」を経費に算入するためには、「当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合」という条件を満たさなければなりません。税法上、個人的な生活費である「家事費」は経費に含まれないため、スーツのように「業務に必要な部分を客観的に証明することが難しいもの」も結果として経費に認められにくい傾向にあることを理解しておく必要があります。

国税庁ホームページ「家事関連費(第1号関係)」

経費性が否認された判例がある

被服費の経費性は、衣服の購入費用を個人的な支出である家事費とみなす判断が示された事例があります。
裁判所は、被服は誰もが必要とする物品であり、種類や品質、数量などは個人の趣味嗜好によって左右される見解を示しました。衣服の耐用年数にも個人差が大きく現れることから、被服費は一般的に家事費に属すると考えることが妥当であると結論付けています。
この判例は、スーツをはじめとする被服費を個人的な費用と捉える根拠となります。衣服は個人の生活に不可欠な要素であるため、事業用の支出として認められにくい点に注意しましょう。

個人事業主がスーツを経費にできる場合

スーツを経費として計上できるのは、業務を遂行するうえでスーツの着用が不可欠であることが客観的に証明できる場合に限られます。例えば、「業務上スーツの着用が必要であること」「プライベートで用いていないこと」が契約書や常駐先の指示書などで明確に示されているなどのケースです。
単に「仕事でよく着る職種だから」という理由だけは、経費にするのは難しいと考えられるでしょう。

個人事業主のスーツ代は、税務調査でも厳しくチェックされる可能性のあるポイントです。特に最近主流の「ビジネスカジュアル」や「セットアップ」などは、普段着としても十分に使えるため、事業専用であることの客観的な証明が極めて困難です。「仕事のときにしか着ない」と個人的に決めていても、税務上はなかなか通用しません。基本的には経費にするのは難しいと考え、後々のトラブルを防ぐためにも安易な計上は避けることをおすすめします。

監修者 高柳 政道
CFP認定者・一級ファイナンシャル・プランニング技能士
高柳 政道

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個人事業主がスーツ以外の衣服で経費にできる場合・できない場合

スーツ以外の衣服も、考え方は同じです。「業務上の必要性」と「私用との区分の明確さ」を説明できるかが重要になります。

個人事業主がスーツ以外の衣服で経費にできるもの・できないもの

スーツ以外で経費にできるもの

業務上必要であり、業務でのみ着用することを明確に証明できるのであれば、スーツ本体だけでなく関連する品目も経費として認められる場合があります。具体的には、ビジネス専用として使用流用しないシャツやネクタイ、革靴などです。

  • 作業服や安全靴など、業務における安全確保のために必要なもの
  • ロゴや屋号を入れた作業着など、業務専用であることを示しやすいもの
  • 従業員に支給し、業務中に着用を義務付けている制服やユニフォーム

作業服や安全靴は、安全を確保するために必要な道具としての性質が強いため、一般的な衣服に比べて経費として認められやすい傾向にあります。
ただし、これらは私生活でも着用できるため、一般的には私用性が高いとみなされ経費算入には慎重な判断が求められます。

スーツ以外で経費にできないもの

日常の外出や冠婚葬祭でも着用できる衣類や小物は、経費に含めることが困難です。業務と私生活の境界が曖昧な次のような物品は、個人的な支出である「家事費」として扱われるのが一般的です。

  • ビジネスカジュアルとして休日にも着用できるジャケットやパンツ、シャツ
  • 持ち主の趣味嗜好が強く反映される腕時計
  • 特定の業務に特化した機能がなく、普段使いが可能なビジネスバッグ

私生活でも使える品目は、業務を行ううえで不可欠であるという根拠を示しづらいため、経費として認められにくいといえます。なお、重量のある専門機材を持ち運ぶための専用ケースなど、業務上の道具を保管・運搬する目的に特化した鞄であれば、経費として計上できる可能性があります。

スーツを経費として計上するときの仕訳方法・勘定科目

個人事業主がスーツを経費として計上する際は、「消耗品費」の勘定科目を使用することが一般的です。ここでは、取得価額が8万円のスーツを購入し、業務のみで着用する場合の仕訳方法を説明します。

現金払いクレジットカード払い
(※1)
借方勘定科目消耗品費
借方金額80,000円
貸方勘定科目現金未払金
貸方金額80,000円
摘要スーツ購入代金として
  • 1 クレジットカードで購入した際は、代金が銀行口座から引き落とされた日に、未払金を取り消す処理が必要です。

なお、事業とプライベートの両面でスーツを着用しており、公私の区分を客観的に分けられる場合は「家事按分」を行います。業務に要した時間や日数を基準とし、事業利用分のみを経費として計上するのが基本です。たとえば、80,000円のスーツを事業利用の割合50%で按分する場合、40,000円を「消耗品費」として記録し、残りの40,000円を「事業主貸」として処理する仕組みです。

個人事業主がスーツ代を経費にするときのポイント

個人事業主がスーツ代を経費として計上する際に、実務上押さえておきたいポイントを解説します。不備のない確定申告を行うための準備として、下の事項を確認しておきましょう。

領収証書などの書類を保管する

スーツに限らず、経費として計上する物品を購入した際は、支出の事実を証明するための領収証書が必要です。税務処理を適正に行うためにも、購入した日付や金額、店名、但し書きが明記された書類を確実に保管しておきます。
また、仕入税額控除を受けるためには、要件を満たした適格請求書(インボイス)の保存が不可欠です。取引先が適格請求書発行事業者であるかを確認し、インボイス制度に則った形式で書類を受け取りましょう。

業務でスーツを着用した記録を残す

業務で利用している実態を客観的に証明する方法として、業務中にスーツを着用している姿を写真に収めておく方法があります。また、事業所など業務を行う場所へスーツを保管したり、スケジュール帳にスーツを着用して面談や業務を行った日を具体的に記載したりすることも有効な対策となります。

高額なスーツは避ける

業務専用として購入したスーツであっても、社会通念上、あまりに高額なラグジュアリーブランドの品物は、経費として認められない可能性があります。個人事業主が計上できる経費に一律の上限金額は設けられていませんが、常識の範囲を大きく超える支出は、個人的な趣味や嗜好品と見なされるリスクを伴います。具体的な金額基準は示されていませんが、事業を遂行するうえで妥当であると判断される範囲の品物を選択することが重要です。

税理士に相談する

スーツ代の計上可否や、家事按分の正確な割合、仕訳の方法などで判断に迷う場合は、税理士に相談することも検討しましょう。税務の専門家から、適正な経費計上のためアドバイスを受けることができます。
必要に応じてスポット的な相談を依頼したり、事業規模にあわせて顧問契約を結んだりするなど、自身の状況に最適な体制の選択も可能です。

経費の支払いや経理作業に便利な法人カード

スーツやそのほかの業務に必要なものを購入する際は、法人カードの利用が便利です。法人カードを使うことでポイントをためられるほか、プライベート用と事業用でカードを使い分けられるため、利用明細で経費を容易に把握できるようになります。
さらに、法人カードと経費精算システムや会計ソフトを自動連携させれば、日々の経理作業や確定申告のための準備を大幅に効率化できるでしょう。「JCB Biz ONE」で自動連携に対応しているのは次の通りです。

連携できる主要なソフト

  • マネーフォワード クラウド会計
  • FXクラウドシリーズの「銀行信販データ受信機能」
  • 弥生
  • freee会計
  • ソリマチ

なお、「JCB Biz ONE」などJCBグループ発行の法人カードを対象に、「やよい青色申告オンライン」の利用料が1年間無料になるキャンペーンも実施されています。

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個人事業主・フリーランスも発行できる「JCB Biz ONE」

「JCB Biz ONE」は、個人事業主やフリーランスの方のために設計された法人カードです。一般カードは年会費が永年無料、ゴールドカードも初年度無料で、年間100万円(税込)以上の利用があれば翌年度の年会費5,500円(税込)が無料になります。
「JCB Biz ONE」はポイントがいつでも2倍獲得できるため、スーツの購入などまとまった支出がある際も効率よく活用することが可能です。
また、ゴールドカードには国内の主要空港、およびハワイ ホノルルの国際空港内にあるラウンジサービスを付帯しており、国内出張が多い方にも適しています。JCBの法人カードなら、入出金状況をまとめて把握できる「Cashmap」も利用可能で、資金管理の効率化にも役立つでしょう。

よくある質問

個人事業主はスーツの購入費用を経費として計上できますか?

事業でのみ着用することを客観的に示せる場合、経費として計上可能です。
ただし、一般的なビジネススーツの価格帯を大幅に超える品物や高級ブランド品は、個人の趣味嗜好による支出とみなされる傾向があります。特定のブランドや高額な品物を選択した明確な根拠が求められますが、税務調査において経費性が否認されるケースも多いため注意が必要です。

ワイシャツや革靴の購入費用も経費にできますか?

ワイシャツや革靴、ネクタイといった品目も、業務でのみ着用する実態があれば経費として計上可能です。
一方で、腕時計などの装飾品は、私生活でも利用できる物品であり、業務でのみ利用している根拠を提示しづらいため、経費としては認められにくいといえます。腕時計は持ち主の趣味嗜好が反映されやすい点も、経費計上が困難である理由のひとつです。

業務で着用したスーツのクリーニング代は経費として計上できますか?

事業でのみ着用するスーツをクリーニングに出した際の費用は、必要経費として計上できる場合があります。スーツが事業専用であることが前提となるため、私用の衣類とまとめてクリーニングに出している場合は、全額を経費とすることはできません。事業分と私用分を区分し、合理的な基準で按分する必要があります。クリーニング代も、支出内容が分かる書類を保管しておくことが重要です。

スーツ購入時の勘定科目を教えてください

スーツを仕訳する際は、「消耗品費」の勘定科目を使用します。事業専用として使用するスーツであれば、購入金額を消耗品費として計上します。クレジットカードで支払った場合は、購入時に未払金を計上し、引き落とし時に消し込む処理が必要です。なお、私用でも着用する場合は、事業利用分のみを家事按分して計上する必要があります。

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高柳政道(たかやなぎ まさみち)
【監修者】

氏名:高柳政道(たかやなぎ まさみち)
資格:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、DCプランナー2級

一級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得後、2020年5月に金融コラムニストとして独立。企業に属さないFPとして投資商品の選び方を中心に情報を発信。
資産運用・生命保険・相続・ローンなど、多岐に渡るジャンルの執筆及び監修業務を手掛け、関わった記事数は500を超える。

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