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個人事業主の確定申告が初めての方へ!申告の流れとやり方
一定の所得のある個人事業主は、確定申告をする必要があります。確定申告は煩雑な作業が必要であり、税金の徴収につながることから、個人事業主の中には確定申告にネガティブなイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、確定申告をすることで得られるメリットもたくさんあります。
ここでは、確定申告をする理由や流れ、しなくてもいい人はどんな人なのかなど、個人事業主の確定申告について解説します。なお、本記事は2020年2月時点の税率、制度に基づいて作成しています。
個人事業主は必ず確定申告しなければならない?
個人事業主だからといって、必ず確定申告をしなければならないわけではありません。そもそも、「個人事業主とは誰か」という線引きにおいて、「年間◯万円以上の事業活動をしている人」といった明確な基準が決まっているわけではありません。しかし、確定申告をしなければいけないかどうかの判断基準は、明確に決まっています。
個人で事業をしている人が、確定申告をしなければいけないかどうかを判断するための、5つのステップを紹介します。
確定申告が必要かどうかを判別するためのステップ
- その年(1月1日から12月31日まで)の収入から事業にかかった経費を引いて、「所得」を求めます。
- 所得の金額(複数の事業を行っている場合は所得の合計額)から所得控除を引きます。
- 所得控除とは、所得税を算出する上で所得から差し引くことのできるさまざまな控除のこと。所得控除には多くの種類があり、自分が該当するものを申告することで控除が受けられます。また、全員が受けられる控除に基礎控除があります。
- 「2」の金額を所得税の速算表にあてはめて、「所得税額」を計算します。
- 「3」の金額から税額控除を引きます。
- 税額控除とは、配当金を受け取ったときに利用できる配当控除や住宅借入金等特別控除などを指します。
- 「4」の金額が1円以上なら確定申告の必要があり、0円(全額控除できる)なら確定申告は不要です。
ただし、特定の資格を持つ場合や芸能人など、一部の職業では報酬が振り込まれるときに、あらかじめ10.21%(所得税10%+2037年まで復興特別所得税2.1%)を源泉所得税として差し引かれている場合があります。
このような業種で、年間に差し引かれた所得税が「5」の金額を上回っているのであれば、確定申告をしないことも可能です。
確定申告をしない場合でも住民税の申告が必要
確定申告は、所得税を納めるために行うものですが、確定申告の結果は所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料の算定にも使われています。そのため、確定申告をしなくていい方(所得税額が0円の人)でも、住民税や国民健康保険の申告はしなければいけない場合があります。
確定申告をした場合は、税務署から市区町村に所得の情報が通達され、それをもとに住民税や国民健康保険料が計算されます。いわば、自動的に住民税や国民健康保険料の申告を行ったことになるのです。確定申告をしない場合は、市町村に所得の情報が通達されないため、別途、市町村に「市民税・県民税申告書」を提出して住民税を申告しなければなりません。
たとえ所得がない(収入から経費を引いた金額がマイナス、もしくはゼロ)方でも、どちらにせよ住民税や国民健康保険料の算出のために別途申告が必要です。確定申告を行うメリットは他にも複数あるため、個人事業主であれば確定申告をしておくことをおすすめします。
確定申告をすることで収入状況を証明できる
個人事業主は、給与所得者のように会社から源泉徴収票(1年間の収入と控除の額、所得税額などを一覧にしたもの)をもらうことができません。そのため、融資を受ける際や新たに賃貸住宅を契約する際に、収入証明書として確定申告書の控えを求められることがあります。また、子どもを保育園に入れる場合も、確定申告書のコピーを提出することになるでしょう。
確定申告をしていないと、このようなときに必要な書類を用意することができません。個人事業主にとって、確定申告書の控えは収入状況を証明してくれる大切なものなのです。
損失控除を利用するためには確定申告が必要
青色申告をしている人は、3年間にわたって赤字を繰り越せる「損失控除」を利用できます。損失控除を利用するためには、事前に青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しておく必要があります。この書類を提出した上で、青色申告を行っている事業者は、赤字が出たときに翌年の利益から赤字分を相殺できます。
また、前の年に利益が出ていて、その年も確定申告をしていれば、前の年の利益からその年の赤字を差し引いて所得税の還付を受けることも可能です。これを、繰越に対して「繰戻し」といいます。
個人事業主が納める税金は?
個人事業主が納める税金はさまざまです。ここでは、おもな税金について紹介します。
所得税(復興特別所得税)
個人事業主に限らず、所得がある人が納める税金が所得税です。1月1日から12月31日までの課税所得額に所得税率を掛けて算出します。税率は課税所得額によって変わります。なお、2037年までは復興所得税として、所得税額×2.1%が所得税とは別途徴収されます。復興所得税も、所得税と合わせて確定申告で申告する必要があります。
なお、所得税や復興特別所得税は、確定申告を行ったタイミングで納税(3月15日が納期限、振替の場合は約1ヵ月後に引き落とし)します。
住民税
住んでいる自治体に支払う市町村民税や都道府県民税を、合わせて「住民税」といいます。確定申告をしていれば、別途申告をする必要はありません。住民税の金額は、確定申告後、6月頃に送られてくる住民税通知書で知ることができます。
住民税の税率はどの自治体でもだいたい10%で、それとは別に、標準税率で5,000円の均等割が課せられます。
なお、所得税は申告した年の税額をその年に支払いますが、住民税は前年の所得額を元に決められます。そのため、売上額に変動がある個人事業主は注意が必要です。
消費税
2年前の売上が1,000万円を超える個人事業主は、消費税を納める必要があります。対象の個人事業主は、3月31日までに「消費税及び地方消費税の確定申告書」を提出し、消費税を納付します。
開業後2年間は「2年前の売上」が存在しないため、自動的に免税事業者(消費税の納付が免除される事業者)となります。ただし、特定期間(前年の1月1日~6月30日)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、開業後2年以内であっても課税事業者となり、消費税の納付が必要になります。
個人事業税
個人事業税は、営んでいる事業によって納める必要がある税金です。確定申告をすると、該当者に納付額の通知書等が届きますから、別途申告する必要はありません。税率は3~5%で、業種によって異なります。
国民健康保険税(料)
国民健康保険税(料)は、国民健康保険組合に加入していて、自治体の国民健康保険に入っていない個人事業主が納めるものです。国民健康保険に加入するための保険料は、自治体によって「国民健康保険料」としている場合と「国民健康保険税」としている場合があります。どちらでも、受けられる保障内容は同じです。
国民健康保険税(料)も、確定申告をすることで自動的に金額が計算され、国民保険税(料)納税通知書が自宅に送られてきます。住民税と同じく、前年の所得によって金額が決まるため、売上額の変動が大きい個人事業主は注意が必要です。
確定申告の前に必要なこと
個人事業主が確定申告を行う前にやっておきたい準備を、3つ紹介します。
1. 個人事業の開業・廃業等届出書の提出(1度だけ)
個人事業を始めるときは、まず、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します。なお、提出しなくても確定申告をすることは可能ですが、開業届を提出することで青色申告が利用できたり、屋号で銀行口座が作れたりといったメリットがあります。
2. 所得税の青色申告承認申請書の提出(1度だけ)
青色申告を希望するのであれば、個人事業の開業・廃業等届出書を提出する際、同時に所得税の青色申告承認申請書も提出します。これを提出していない場合は、白色申告をすることになります。
3. 取引の記録(毎年)
確定申告をするときになって、慌てて1年間の取引をまとめようとすると、申告期間に間に合わなくなるリスクが高くなります。日々の取引はこまめに記帳しておきましょう。
同時に、領収書や請求書といった取引の記録を保管・整理しておくことも大切です。
個人事業主の確定申告における必要書類は?
個人事業主の確定申告の手続きに必要な書類は、大きく3種類あります。それぞれを紹介しましょう。
1.所得税青色申告決算書、もしくは収支内訳書
青色申告をする場合は所得税青色申告決算書、白色申告をする場合は収支内訳書を作成します。これらは、事業の収入と経費をまとめた書類です。
2.確定申告書B
確定申告書Bは、個人事業主が利用する確定申告書の様式です。所得税青色申告決算書や収支内訳書をもとに算出された事業収入の額と、所得から差し引かれる金額(扶養控除の額や生命保険料控除の額など)、所得税の額などをまとめた書類です。
3.控除のための証明書等
生命保険料控除や寄付金控除を受けるためには、それぞれの内容に応じた添付書類が必要です。具体的にどのような書類が必要になるのかは、申告内容によって異なります。
個人事業主の確定申告の流れ
個人事業主の確定申告と納税は、下の流れで進みます。なお、申告期限日が土曜日、日曜日、祝日等と重なった場合は、翌平日になります。
<確定申告と納税の流れ>
- 確定申告に必要な書類の準備
- 決算書と確定申告書を作成
- 2月16日~3月15日に管轄の税務署に決算書と確定申告書提出
- 納付期限(3月15日)までに所得税を納付する(口座振替の場合は4月21日が振替日)
- ただし、源泉徴収された額が納付すべき所得税額を上回っていた場合は不要。超過分は確定申告後に還付される。
- (対象者のみ)3月31日までに消費税及び地方消費税の確定申告書を提出
- (対象者のみ)3月31日までに消費税を納税(口座振替の場合は4月23日が振替日)
- 6月以降、4回の納期限までに住民税を納付(一括納付も可能)
- (対象者のみ)8月以降、納期限までに個人事業税を納付
個人事業主の確定申告の提出方法
確定申告書の提出方法は、1.e-Taxで申告する方法、2.郵送または信書便により住所地等の所轄税務署に送付する方法、3.住所地等の所轄税務署の受付に提出する方法があります。
1.e-Taxで申告
ネットを使って申告データを送信する方法で、国税庁のホームページで作成することができます。
2.郵送または信書便により住所地等の所轄税務署へ送付
郵送で申告書を送付する方法です。確定申告書は、「信書」に当たることから、税務署に送付する場合は、「郵便物」(第一種郵便物)または、「信書便物」として送付する必要があります。
3.住所地等の所轄税務署の受付に提出
最寄りの税務署の窓口または時間外収受箱への投函による提出方法です。
JCB CARD Bizで個人事業主の経費処理を簡単に
確定申告前には、領収書をまとめたり、経費を計算したりする必要があります。個人事業主の経費は多岐にわたり、少額な経費も一つひとつ記帳が必要になります。このような処理は、ひとりですべての実務を行っている個人事業主にとって大きな負担になるでしょう。
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個人事業主は確定申告をしよう
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また、所轄の税務署でも相談にのってもらえますし、決算書作成をサポートしてくれるソフトも多数存在しています。さまざまなサービスを上手に活用しながら確定申告を進めましょう。
JCBでは確定申告をサポートするサービスも取り揃えています!
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